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次世代半導体の研究開発で新拠点、オールジャパンの後押しで復権なるか

政府は大学や国立研究開発法人を中核に、次世代半導体の創生拠点を形成する。世界的な半導体不足が続く中、米中や欧州各国は自国の開発や生産能力増強に乗り出しており、次世代技術の開発や専門人材の育成で中長期の支援体制が不可欠と判断した。2022年度から10年かけて中核拠点を形成する。オールジャパン体制でアカデミアの知見を結集し、日の丸半導体の復権を後押しする。

22年度予算概算要求で文部科学省が新規予算として最大10億円程度を盛り込む。

文科省は、すでに21年度にパワー半導体に関する回路技術や受動素子などの基盤技術の開発事業を立ち上げている。一方、30年代には光や電子といった、これまでの半導体とは異なる原理で作動する次世代半導体の登場が予測される。

実用化すれば、例えば消費電力が従来より100分の1となるような超低消費電力の半導体となる。制御用のロジック半導体やデータ記憶用メモリー半導体への組み込みが期待される。

これらの次世代半導体の研究開発を強化するために、文科省は半導体研究に実績のある大学などを中心とした拠点を形成する。産学官連携によって基礎研究から技術実証までを行える体制を構築する。さらに次世代半導体の研究や試作を通して技術伝承し、半導体関連の高度な専門人材の育成も目指す。

経済産業省との連携も深め、省庁連携によって研究開発政策と産業政策の両輪で着実に産業競争力を強化する方針だ。

日本の半導体産業は、90年以降から地位が徐々に低下し、米国や韓国などがシェアを伸ばしている。衰退を止めるべく、中長期的視野で研究体制を強化する必要がある。特に次世代半導体の国内での製造技術の開発やサプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化などが課題となっている。


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日刊工業新聞2021年8月25日

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