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暗転したZHD・LINE経営統合の船出。飛躍のカギは従業員の意識改革!?

暗転したZHD・LINE経営統合の船出。飛躍のカギは従業員の意識改革!?

川邊社長Co―CEO(左)と出澤剛代表取締役Co―CEO(

「日本の人々に最高のユーザー体験を提供し、社会課題の解決を目指す」―。3月1日、Zホールディングス(HD)の川辺健太郎社長は高らかに宣言した。同日、LINEとの経営統合を完了。電子商取引(EC)や広告、金融といった広範な領域で相乗効果が見込め、アジアなど海外事業の拡大も期待できると胸を張った。

ZHDは従業員数がグループ全体で約2万3000人、サービスの国内総ユーザー数3億人超という巨大IT企業に生まれ変わった。LINEは経営統合に向け2020年末に上場を廃止しており、グループ一体となって米GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)や中国BATH(バイドゥ、アリババ集団、テンセント、ファーウェイ)に対抗していこうとしていた。

ところが、晴れやかに見えた船出は程なく暗転する。同月、対話アプリケーション(応用ソフト)「LINE」利用者の個人情報が中国から閲覧可能になっていたことが報道で発覚。LINEは中国からのアクセスの遮断や、韓国で保管してきたデータの国内への移転などを決めた。4月には政府の個人情報保護委員会が、LINEを行政指導した。

ZHDが設置した特別委員会の6月11日の報告によると、以前からLINEは省庁や自治体へ「LINEのデータは日本に閉じている」など、実態とは異なる説明をしていたことが明らかになった。

18日のZHD株主総会では、出沢剛LINE社長がZHD取締役に選任されて同社の共同最高経営責任者(Co―CEO)を続投することとなったが、株主が選任理由をただす場面もあった。出沢氏は「ガバナンスの強化に最優先で取り組み、信頼回復に努力する。(ZHDとLINEの)統合を成功に結びつけるためのシナジーや新しい企業文化の創出に向け、私が陣頭に立ってリードしていきたい」と前を向いた。

一般に企業のM&A(合併・買収)では買収後の統合プロセス(PMI)が不調に終わり、統合効果の発揮がおぼつかなくなる事例も多い。23年度には19年度からほぼ倍増となる売上高2兆円を目指すZHDだが、同社の飛躍は従業員の意識改革をどれだけ進められるかにかかっている。

日刊工業新聞2021年6月21日

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