次世代半導体材料「グラフェンナノリボン」を精密合成、数年以内に実用化へ
170ナノメートルの長さを制御、名大が成功
名古屋大学の伊丹健一郎教授らは、次世代の半導体材料となりうるグラフェンナノリボン(GNR)の精密な合成に成功した。GNRの長さや幅、構造をすべて制御できる「リビングAPEX重合法」を開発した。重合の開始剤と反応の基質であるモノマーの混合比率を変えるだけで170ナノメートル(ナノは10億分の1)まで長さを制御できる。こうした精密制御によるGNRの合成は世界初という。成果は27日、英科学誌ネイチャーに掲載される。
研究グループは、田岡化学工業と量産技術の確立に関する共同研究を実施中。数年以内に実用化することを視野に改良を続ける。
GNRはグラフェンをナノメートルサイズの幅に切り出した帯状物質であり、導電性や半導体性といった性質が長さと幅、構造に依存する。グラフェンなどを電子線やレーザーで切断して作るが、長さと幅、構造が制御できず、大量生産も困難だった。有機合成による製造は合成したGNRの長さが不均一で、工程が多く大量に合成ができないという課題があった。
リビングAPEX重合法は、反応が1段階で完結し、構造と幅、長さを完全に制御できる。生成物の末端が反応性の高い領域となって連続的に重合が進行する性質と、ベンゼンを代表とする芳香族化合物を1段階でより大きな化合物へ変換する技術を組み合わせることで手法を確立した。部分的に構造の異なるGNRの合成や、長さと幅を変えずに構造を変換することも可能にした。
研究グループは、田岡化学工業と量産技術の確立に関する共同研究を実施中。数年以内に実用化することを視野に改良を続ける。
GNRはグラフェンをナノメートルサイズの幅に切り出した帯状物質であり、導電性や半導体性といった性質が長さと幅、構造に依存する。グラフェンなどを電子線やレーザーで切断して作るが、長さと幅、構造が制御できず、大量生産も困難だった。有機合成による製造は合成したGNRの長さが不均一で、工程が多く大量に合成ができないという課題があった。
リビングAPEX重合法は、反応が1段階で完結し、構造と幅、長さを完全に制御できる。生成物の末端が反応性の高い領域となって連続的に重合が進行する性質と、ベンゼンを代表とする芳香族化合物を1段階でより大きな化合物へ変換する技術を組み合わせることで手法を確立した。部分的に構造の異なるGNRの合成や、長さと幅を変えずに構造を変換することも可能にした。
日刊工業新聞2019年6月27日(科学技術・大学)