コロナ禍の「ゴルフ場とゴルフ練習場」ビジネス、データが映し出す回復力

統計から読み解く

  • 1
  • 4

日本時間の4月12日早朝、松山英樹選手のマスターズ優勝のニュースが日本中を駆け巡った。今、注目のゴルフだが、コロナ禍でも活況なスポーツとなっていることをご存じの方もいるのではないか。今回はそんなゴルフについて、ゴルフ場とゴルフ練習場の状況をみていく。

屋内スポーツとは対照的な動き

ここのところゴルフ人口が減少傾向にあると言われてきたが、コロナ禍において、ゴルフ場やゴルフ練習場の営業はどの様な影響を受けたのだろうか。

まずは様々なサービス業の活況度を示す第3次産業活動指数から、スポーツ施設提供業の内訳業種の推移をみてみよう。これは利用者数に基づいて作成されているが、主に屋外でプレーするゴルフ場やゴルフ練習場は、ともに1回目の緊急事態宣言の際は大幅に低下したものの、夏にかけて急速に回復し、2回目の緊急事態宣言が発出された後も好調が続いていることがわかる。

ただ、コロナ禍前は、ゴルフ練習場とゴルフ場の動きは比較的似ていたが、1回目の緊急事態宣言後は、ゴルフ練習場の方が早い回復をみせている。最近はゴルフ場も回復が進み、ともにコロナ禍前を上回る活況となっている。

一方、屋内スポーツのボウリング場やフィットネスクラブについては、1回目の緊急事態宣言時に大幅に低下した後、未だコロナ禍前の水準には届かず低調な動きとなっている。屋外スポーツであるゴルフ練習場やゴルフ場の好調さとは対照的であることが見てとれる。

コロナ禍において三密を回避しつつ体を動かすことができるスポーツとして、まず近場で気軽に出かけられるゴルフ練習場の利用が回復し、次いでゴルフ場に出かける人も増えているのではないだろうか。

次に、ゴルフ場、ゴルフ練習場の売上高の推移についてもみてみよう。特定サービス産業動態統計(経済産業省)によるそれぞれの売上高から季節性の変動を取り除いて推移をみると、以下のグラフのようになる。

売上高でみてもゴルフ場、ゴルフ練習場については1回目の緊急事態宣言で大幅に減少していたが、ゴルフ練習場の方が影響が小さく、先に回復した後、最近はコロナ禍前の水準を大きく上回っている。ゴルフ場はゴルフ練習場より回復が遅れていたが、直近ではゴルフ練習場と同様、コロナ禍前の水準を上回り、2回目の緊急事態宣言下でも好調な動きがみられる。

ゴルフ練習場とゴルフ場の回復度に差

近頃、ともに好調なゴルフ練習場・ゴルフ場ですが、ゴルフ練習場の方が売上の回復も早かったことがわかった。この要因を探ってみると、利用者数による要因と一人当たり売上による要因に分解することができる。利用者数による要因については、冒頭の第3次産業活動指数でみたようにゴルフ練習場の方が回復が早いことがわかる。売上高についても、一人当たり売上高に季節調整をかけてその推移をみてみると、1回目の緊急事態宣言時にはゴルフ場は大きく低下したのに対し、ゴルフ練習場はそこまで大きく低下せず、回復も早かったことがわかる。

ゴルフ場は、感染防止対策として、ラウンド回数制限やプレー後の飲食の減少、密を避けるためにキャディーを付けないなどの取組みが行われており、こうしたことが一人当たりの売上高の大きな低下の理由となったのではないだろうか。最近はコロナ禍前の水準に戻りつつあるが、未だ完全には回復してはいない。

一方、ゴルフ練習場は手軽に一人または少人数でも練習に行くことができ、他の人との距離を適切にとれることなどから、1回目の緊急事態宣言後、利用者は早くからコロナ禍以前とあまり変わらない時間、練習するようになったと考えられる。

飲食に係る売上減が影響

実際にコロナ禍によりゴルフ場の一人当たり売上高の変動がなぜ生じたかをデータからみてみよう。内訳ごとの推移を、コロナ禍による影響がより明確になるように2020年1月を基準にみてみると、一人当たりの利用料金は1回目の緊急事態宣言時でも2割程度の減少にとどまったが、一人当たりの食堂・売店売上高は1回目の緊急事態宣言時に半分近くまで大幅に減少した。感染症対策として、プレー後の会食の禁止や自粛が大きく影響していることがわかる。

1回目の緊急事態宣言解除後は食堂・売店売上高も急上昇しているものの、2021年に入ってもコロナ禍前の水準には戻っていない。ゴルフ練習場は手軽にプレーできるため、感染症対策による制約が少なかったのに対し、ゴルフ場はグループで長時間過ごす必要があり、またプレー人数や飲食など様々な制約があるため、ゴルフ練習場に比べ、一人当たり売上の回復も鈍くなったのではないだろうか。

コロナ禍のなかでも屋内スポーツとは対照的に、ゴルフ練習場・ゴルフ場はこのところ活況を取り戻してきたようだ。ただ、ゴルフ場については一人当たり売上はまだ戻り切っておらず、今後も利用者数の伸びでカバーできるかが気になるところ。直近では感染症も再び急拡大していることから、今後の影響についても注目していきたい。


【METIジャーナル】の本文はこちら

関連する記事はこちら

特集