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コロナ影響残る3メガバンクの今期業績、回復が最も早いのはどこだ?

3メガバンクの2022年3月期業績は、与信費用が依然高水準で推移し、予防的に引当金を計上するなどコロナ禍の影響が残る見通しだ。コロナ禍以外では、三井住友フィナンシャルグループ(FG)の銀行単体の業務純益は、前期の増益要因だった債権の売却益が減って減益になる。みずほフィナンシャルグループ(FG)は顧客や市場部門が堅調で前期並みの利益水準を維持。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は連結業務純益が、海外銀行子会社での政策金利の低下や貸出残高の減少などで減益になる。

三井住友FGは連結業務純益を伸ばすが、コロナ禍影響は700億円(前期は1000億円)の下押し要因になる。与信関連費用は、三井住友FGが3000億円(同3605億円)、みずほFGが1000億円(同2049億円)、MUFGが3500億円(同5155億円)を想定する。

三井住友FGは「特定の業種で影響が残り、完全には払拭(ふっしょく)しない」(太田純社長)と、3000億円のほか予防的に引当金を計上するフォワードルッキング(FL)引当金を400億円想定する。みずほFGも「中堅・中小企業へ累積的に影響が及んでくる」(坂井辰史社長)と危惧し、FL引当金を含め1900億円を計上する。MUFGは前期から1655億円の削減になるが、「(業績の好不調は)業種によってかなり差がある」(亀沢宏規社長)と警戒する。

業績予想の前提となる回復シナリオは、みずほFGが最も早期の持ち直しを見込む。21年後半からの回復を折り込み、「国内総生産(GDP)は22年1―3月期にコロナ前の水準になる」(坂井社長)と想定。三井住友FGは日本経済が徐々に上向くとした。MUFGは、GDPがコロナ禍前の水準に復帰するのは23年度になると時間を要する予想だ。

日刊工業新聞2021年5月18日

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