アサヒ「スーパードライ」4割増の購入者2000万人へ、相次ぎ新サービス

共通するキーワードは「イエナカ」と「若返り」

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氷点下のスーパードライエクストラコールド

アサヒビールはビール「スーパードライ」の購入者を2026年に現在の1456万人から4割増の2000万人に引き上げる。スーパードライはコロナ禍で、20年の販売数量が前年比22%減の6517万ケース(1ケースは大瓶20本)と大幅減。21年は自己発泡する「生ジョッキ缶」の発売や体験型施設のオープン、家庭用生ビールサービスへの参入など、新たな商品やサービスを相次ぎ打ち出している。共通するキーワードは「イエナカ」と「若返り」だ。(高屋優理)

20日に茨城工場(茨城県守谷市)にオープンする体験型施設「スーパードライミュージアム」は従来の工場見学を進化させ、「スーパードライの世界観を五感で体感する」がテーマ。塩沢賢一社長は「お客さまが主体となって体験価値を創出したい」と話した。

体験ツアーの冒頭では、全長17メートルの5K大型スクリーンでスーパードライができるまでのストーリーや飲用シーンなどのイメージを迫力ある映像で体感。中盤の「スーパードライ ゴーライド」では、ビールを缶に詰める工程を4面の大型スクリーンに映し出し、ビール缶に乗って工場を縦横無尽に動き回る感覚を楽しめる。

同ミュージアムは施設全体をブランドカラーのシルバー、赤、黒で構成し、中から外を見ることは限られたところしかできないように工夫されている。松山一雄専務は「外の世界と遮断し、没入感が感じられるようにした」と意図を話す。

従来の工場見学とは一線を画し、最新技術を取り入れた狙いの一つは、若年層の取り込みだ。スーパードライは87年の発売から30年以上が経過し、シェアトップを維持しているものの、中心の購買層が50―60代になるなど高齢化が課題の一つとなっている。

「スーパードライ ゴーライド」では製造過程をまるで缶に乗ったかのような没入体験ができる

長寿ブランドが抱える課題を克服する糸口となりそうなのが、6日にコンビニエンスストア限定で発売した生ジョッキ缶だ。従来、缶商品は開缶しても発泡しないように設計しているが、逆転の発想で缶胴を設計。開缶すると缶から泡がブクブクと湧き出るビジュアルが若年層の心を捉え、発売前から会員制交流サイト(SNS)で話題となった。

生ジョッキ缶は話題性もあり、発売2日間で月間の販売計画数量を超え、出荷を一時停止。20日の量販店での発売は現状、予定通りだが、これも早々に予定数量を完売する可能性が高そうだ。塩沢社長は「21年末までに缶ぶたの生産量を現在の2倍以上に拡大し、出荷体制を確立する」としている。

5月から開始する家庭用生ビールサービス「THE DRAFTERS(ドラフターズ)」は、コロナ禍で拡大する「イエナカ消費」の取り込みを狙う。スーパードライは飲食店向けの業務用比率が約5割と高いのが特徴。コロナ禍で業務用の販売が激減すると、これが弱点となって露呈してしまった。

ドラフターズではオリジナルのサーバーに氷点下の温度帯「エクストラコールド・モード」を備え、飲食店で飲める生ビールが家庭でも飲める。ドラフターズでも若年層を意識し、キャンプなどでの利用を想定して屋外で持ち運びできる専用キャリーケースの販売も計画している。

日刊工業新聞2021年4月15日

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