岩谷産業が液化水素の製造拠点を関東に新設へ、投資額は200億円強
岩谷産業は関東エリアで新しい液化水素の製造拠点を3年内めどに設立する方針を18日明らかにした。数社と共同事業で進め、投資額は200億円強を予定。岩谷がかかわる液化水素の製造拠点は堺市、千葉県、山口県に次ぎ4カ所目となる。国は2050年の脱炭素化に向け、水素の活用を有望視する。水素トップメーカーの岩谷は輸入と合わせ国内で増強を図り、水素の導入拡大に貢献する。
液化水素の製造法や製造能力などは現在、詰めている。液化天然ガス(LNG)を分解し水素を製造する方式が有力で、1時間当たり3000リットルのラインを2ライン以上設ける計画だ。付属するタンクローリーなども新規設備で導入する。
岩谷は現在、3拠点で年間約1・2億立方メートルの液化水素製造能力を持つが、新たな拠点が加わると3割強のアップを想定する。加えて国内にある既存の液化水素の製造拠点の増産や、関西電力など電力会社と組み原子力発電所の夜間電力を活用した水素製造基地の建設も検討していく。
岩谷はすでに複数社と組み、国のプロジェクトで二酸化炭素(CO2)フリー水素を大量に豪州から調達するサプライチェーン構築にも取り組んでいる。海外からの水素導入も具体化を進めていく。
FCV(燃料電池車)市場の拡大に貢献する水素ステーションも、トヨタ自動車と連携し国内と米国で積極的に整備する。国内は20年度中に水素ステーションを全国で累計53カ所整備するが、21年度は100億円を投じさらに20カ所つくる。
岩谷の牧野明次会長は「東京都、名古屋市、大阪市、福岡市を重点地域にし、面対応で水素ステーションを整備したい」と話す。
米国でも水素ステーションを、カリフォルニア州のサンフランシスコ市とロサンゼルス市でトヨタと連携し累計11カ所を年内に整備し、あと20カ所も新設することを決めた。
国は30年に国内の水素導入量で300万トンの目標を打ち出す。牧野会長は「国の目標達成には多くの企業と連携しながら、水素事業を進めていかないといけない」と強調する。