地方のLPガス利用家庭にIoT新サービス!岩谷産業の独自サービスの中身
岩谷産業は液化石油(LP)ガスを利用する地方の家庭などを対象にIoT(モノのインターネット)プラットフォーム「イワタニゲートウェイ」を使った新サービスを4月に始める。独自開発の通信機能付きガス漏れ警報器・ガスメーターを介し、多様な機器とインターネット接続する。ガス供給者側はガス残量を遠隔で確認しガスボンベの効率配送につなげたり、利用者側には防災情報の提供や見守りサービスなどの提供を目指す。
岩谷は主力のLPガス事業で、卸売りを含め国内トップの約320万戸の顧客基盤を持つ。間島寛社長は「LPガス事業者は緊急時に30分以内で顧客に駆けつける事業インフラが強みだ。これをLPガス供給以外にも生かす。デジタル技術を使って地方の社会課題解決が図れるサービスを実現したい」と、新サービスの狙いを語る。
LPガスメーターを屋外設置のガスボンベに取り付けて低出力通信し、ガス使用量の把握や万一のガス漏れ時の遠隔遮断を行う。宅内に付けるガス漏れ警報器は電気や水道のメーターとも接続して使用状況を把握。内蔵のWi―Fi(ワイファイ)機能などでIoT対応のテレビやエアコンとも接続可能だ。
島根県大田市と京都府京丹後市と協定を結び、各100戸を対象に実用化への最終実証を21年3月まで実施する。地方の高齢者利用を想定し、警報器から自治体による音声での災害情報提供や駆けつけボタンによる見守りサービスも行う。機器を介し、専用のコールセンターを結んだ困りごと相談や遠隔医療や買い物支援のサービスも検討。サービス充実のため、綜合警備保障(ALSOK)など他社とも提携した。
利用料は確定していないが、導入コストは軽くする方針。サービス開始から「3年で50万戸へ導入を目指す」(間島社長)。アジア7カ国に関連技術の特許を出願済みで、IT化が進む台湾などでもサービスを検討する。(大阪編集委員・広瀬友彦)