SBIHDの北尾社長を直撃、地銀との連携で狙う「第4のメガバンク」構想は可能?
SBIホールディングス(HD)は、地方銀行との連携で「第4のメガバンク」を目指す地銀連合構想の実現に拍車をかけている。出資先の福島銀行など4行の保有株式を、100%子会社のSBI地銀ホールディングス(HD)に移管した。一方、資金調達手段として注目されるセキュリティ・トークン・オファリング(STO)について、流通市場となる私設取引所(PTS)の今年度内設立に向け、取り組みを加速している。
SBIHDは、福島銀のほか、清水銀行、島根銀行、筑邦銀行の保有株式をSBI地銀HDに移管した。地銀連合構想の環境整備の一環で、構想実現に向けて着実に歩みを進めたと言える。
同構想は、SBI地銀HDを“扇の要”とし、地銀のシステム共同化や事業承継、地域活性化などを目指している。提携先は現時点で4行だが、すでに最大10行まで増やす考えを表明している。
提携先をめぐり、新たな合意に近い金融機関が3、4行あるともされている。新たに地銀との資本・業務提携が決まった場合、原則株式は地銀HDが保有する仕組みになっている。
一方、STOの市場拡大を目指して設立を目指すPTSは、STOだけでなく普通株も扱う計画だ。SBIHDは投資家や資金調達者にとって魅力ある新市場形成に向け、動きを加速する構えだ。
「魅力ある市場を形成」
SBIHDの北尾吉孝社長にPTS設立の狙いなどを聞いた。(高島里沙)
―PTSを設立する狙いは。
「発行市場と流通市場がなければ、車の両輪にはならない。STOはまだ十分に発行されていないため、STOのみの流通市場では収益状況が相当しんどくなり、大赤字になる。そのため、普通株を入れた形で設立する。まず必要最低限の社数で迅速に立ち上げる。その上で、他社の参画を募る方針だ」
「発行市場は1号2号とどんどん出てくるだろう。日本STO協会は自主規制団体の認定を取得し、45社が参画するなど順調に進んでいる。法制度上でも認められたSTOを新たな金融商品として、魅力ある市場を形成したい」
―海外でのSTO市場の拡大については。
「グローバルなSTOの発行・流通市場も近いうちに設立する。シンガポールを拠点に見据えている。政府の許認可事項だが20年度内には設立できると思う。独シュトゥットガルトのデジタルアセット関連企業にも、19年に出資して提携関係にある」