香港から撤退するSBI、受け皿は関西金融都市に?
SBIホールディングスは2020年度内にも、香港から撤退する方針を固めた。すでに複数ある拠点の一部を閉鎖した。香港をめぐる国際環境の変化を受け、国際金融センターとしての機能が薄れたと判断した。日本政府や同社が進める日本の金融都市構想も背景にある。
SBIHDは香港に現地事業の持ち株会社や証券、医療関連などのグループ会社を置くが、いずれも現地事業から撤退する方向だ。現地従業員は数十人規模で、業績影響はほぼないとみられる。
同社は大阪、神戸地区に海外企業を誘致して世界的な金融都市とする構想を掲げており、政府の同様の方針と一致する。香港から移転する海外金融機関の受け皿になるとみて、関連事業を整備していく考えだ。
香港をめぐっては、7月1日に国家安全維持法が施行された。一国二制度の維持に疑念が高まり、米トランプ大統領は香港の正常化に関する大統領令に署名した。同社は7月末に公表した資料で「香港の国際金融センターとしての地位は低下が見込まれる」と指摘している。香港からは米大手資産運用会社が撤退を表明している。邦銀をはじめ国内金融機関による香港事業の見直しが広がりそうだ。
日刊工業新聞2020年9月9日