市場拡大のeスポーツ、大会オンライン化で不可欠なこと
新型コロナウイルス感染症の拡大でイベントのオンライン化が活発だが、開催方法の変更は企画に応じて向き・不向きがある。主催者はなぜオンラインでの開催に踏み切ったのか、各社の狙いに注目する。第1回は凸版印刷のeスポーツ活動。
凸版は新型コロナ感染症拡大を受けて、社内で実施している「eスポーツ部」の活動をオンライン化した。隔週に1度の集合形式から、週1回程度オンラインで集まり練習する方法に変更。部内からは気軽に参加しやすいという声もあり、社外とは“リモート飲み”と組み合わせた新たな交流も実現した。
ただ、同部の設立の本来の趣旨はeスポーツビジネスへの知見を深めること。オンライン活動の活発化は、同社の今後のビジネスにとって重要な機会でもある。
同部は総合印刷業という特徴から、企業対抗大会の主催者側にまわるケースも珍しくない。4月にはモバイルゲームのオンライン社会人対抗戦をエイプリルナイツ(東京都江東区)と共催した。当初オフラインで開催予定のイベントだったが感染拡大を受けて変更。オンライン大会の運営や配信のノウハウを積む絶好の機会となった。
凸版はeスポーツ市場の拡大に注目して、これまで企業や自治体と連携してオフラインの大会やイベント、業界セミナーなどを展開してきた。コロナ禍で多くの人が自由に外出できない中、関連ビジネスのオンライン化は避けられない。
オンライン大会のようなイベントは「観客をいかに盛り上げるかが課題の一つ」(eスポーツ部部長の金井淳一郎氏)。運営側は視聴者や大会参加者の様子を直接観察して把握することが難しいため、オンラインに適した演出や運営の方法が新たに必要となる。経験を積むことで手法の確立につなげる狙いだ。
国内eスポーツ市場は、2023年には19年比約2・5倍の153億円(カドカワゲームリンケージ調査)まで成長する見込みで競合企業も注目する。大日本印刷はNTTeスポーツ(東京都新宿区)などと連携してeスポーツの企業対抗戦のオンライン開催と動画配信を始めており、配信・運営の技術の向上は一層欠かせない。
【連載・オンラインイベント Ready go】
7月13日 #01凸版印刷
7月14日 #02大日本印刷
7月15日 #03カエッタラ
7月16日 #04ピクシブ
7月17日 #05JAL/キリンビバレッジ
7月18日 #06NTTデータ