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寿司屋のラーメンに商売のヒントあり

訪日外国人のニーズは意外なところに
 那覇市の回転ずし店で、握りをつまんでいると、中国系と思しき観光客が入ってきた。席に着くとすぐにメニューを見て店員と一言二言。するとぞろぞろ店を出る。店員いわく「ラーメンがないと分かると帰ってしまう」そうだ。

 最近は大手チェーン店を中心に、ラーメンやカレー、うどん、スイーツなどを出す店が多い。だがここは独立系の普通の店。すし屋としては十分だが、その客は“すし屋のラーメン”が食べたかったようである。

 別の日にバーで酒をちびちびなめていると、なんだか客の会計が長引いている。ただし、もめている感じではない。後でバーテンダーに聞くと「中国人の観光客から、京都のジンを売ってくれないかと頼まれた」という。

 国産ジンが人気とは知っていた。だが沖縄のバーに買いに来るとは驚いた。「沖縄=泡盛」とは日本人の感覚でしかない。彼らにすれば京都も沖縄も日本である。容易に買えると考えても不思議ではない。

 訪日外国人旅行客が増える中、観光や物販、飲食といったさまざまな業界が、彼らの心をつかむヒントを求めている。意図せずに異文化交流に接すると、やはりニーズは現場に落ちていると感じる。よし、今日も飲みに行かなくては…。
日刊工業新聞2017年11月30日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
相手の素朴な疑問が自分の商売のヒントや事業課題の解決策が案外みつかったりする。

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