富士通・パナソニックのシステムLSI合弁、「映像処理×AI」に活路

健康管理ソリューションの事業化狙う

 ソシオネクスト(横浜市港北区、井上あまね社長)は、人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)を活用した新規事業創出に乗り出す。強みとする映像処理技術をAIと組み合わせることで、新たな製品やサービスの可能性を広げる。まず最初に狙うのは、画像センサーを使った健康管理ソリューションの事業化だ。

 ソシオネクストは、富士通とパナソニックのシステムLSI事業を統合し、2015年3月に発足した。主力は放送機器向けの画像処理システムLSIだが、成長に向けた事業領域の拡大が課題だ。

 エンタープライズソリューション事業部の脇本康裕事業部長代理は「製造を外部委託するようになったため、稼働率にとらわれず我々の半導体をどう活用するかに重点を置ける」とし、事業創出を積極化する姿勢を見せる。

 特に「AIは汎用性がある。同様に汎用性の高い画像処理システムLSIと組み合わせれば、さまざまなことができる」(脇本事業部長代理)。

 そこで東京工業大学発ベンチャーのSOINN(ソイン、東京都小平市、長谷川修社長、070・5462・0013)と共同で、超音波やエコー画像などを取得する医療向け小型画像センサー「ビューフィー」とAIを組み合わせた健康管理ソリューションの実証試験を実施した。高精度センサーで集めたデータをAIで処理し、予防医療や健康管理につなげる。

 SOINNが手がけるのは、独自の学習型汎用AI技術「人工脳SOINN」。画像や音声などのデータを取得するだけで自動で学習する。

 また一般的なAIがサーバーを必要とするのに対し、SOINNはパソコン1台で駆動できる。端末側にAIを組み込め、低コストを実現できる。

 ソシオネクストの社員700人を対象にした健康診断で実証実験した。ビューフィーで皮下脂肪の超音波画像を取得。そのデータからSOINNが学習し、皮下脂肪の位置を検出して厚みを測定するテストを行った。

 すると通常は数十万枚の画像が必要なところ、700枚でも高精度に皮下脂肪の位置を特定し、その厚みを測定できた。他のセンシングデータなどを応用すれば、人の目では見つけられないような病変を探し出すこともできるという。

 また学習システムを端末に組み込めれば、専門家でなくても診断が可能になる。

 今後はビューフィーを活用した健康管理ソリューションの事業化や、取得した画像データを使ったデータ活用ビジネス、システムLSIへのAIの搭載などを視野に入れる。
               

(文=政年佐貴恵)

日刊工業新聞2017年6月26日

政年 佐貴惠

政年 佐貴惠
07月02日
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将来はAI関連のビジネスで1000億円規模の売上高を目指し、経営の新たな柱に据えたい考えだ。脇本事業部長代理は「センシング技術はAI時代の大きな強みになる」と自信をみせる。他社との協業も増やしながら、ビューフィーに次ぐ第2、第3の柱の創出を加速させる。

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