スポーツ選手はこれから美も勝負!化粧品メーカーが総力戦で支えるプロの技

顔立ちにあったメーク指導から、肌のチェックやスキンケアアドバイスまで

 ゴールデンウイークは体を動かして運動不足を解消したり、スポーツ観戦を楽しんだりする絶好の機会。2020年の東京五輪・パラリンピックの開催を控え、スポーツへの関心は高まる一方だ。そんな中、化粧品メーカー各社も“美”を通じてスポーツ支援に積極的に取り組んでいる。フィギュアスケートや新体操といった美しさと技を競う種目の舞台裏で、美のプロフェッショナルによる選手へのメーク指導やメーク製品開発など、企業の総力戦が繰り広げられている。

 水中で音楽に合わせて踊ったりフォーメーションを作ったりするシンクロナイズドスイミング、スケートリンクの上で華麗な演技やジャンプを魅せるフィギュアスケート、リボンやボールなどの手具を使って音楽に合わせ演技を行う新体操―。

 テクニックの高さだけでなく、美しさと芸術性も競い合う競技に共通するメークのポイントは、激しい動きや汗・水に「崩れない」「立体感がある」「遠くにいる審判員の目にも美しく見える」メークだ。

 ポーラ(東京都品川区)は、新体操ナショナル選抜団体チーム「フェアリー ジャパンPOLA」と個人日本代表選手のオフィシャルパートナーとしてメーク支援を行っている。選手の顔立ちにあったメーク指導だけでなく、肌のチェックやスキンケアアドバイスなどをサポート。

 08年の北京五輪、12年ロンドン五輪で新体操団体メンバーとして活躍後、ポーラで選手のメーク支援にあたっている田中琴乃美容コーチは「5人で戦う団体戦のメークは協調性・同時性を出すため“5つ子”にみえることが重要」と話す。

 このため一人ひとりのアイラインやアイカラーの幅を調整して、全体で統一感のあるメークに仕上げる。

「選手が演じる表現力、演出、世界観を高める」


 コーセーは日本スケート連盟、シンクロナイズドスイミング日本代表(マーメイドジャパン)とオフィシャルパートナー契約を結んでいる。選手のメークを支援し、演技のテーマや曲に合わせたメークを仕上げている。

 メーキャップアーティストの石井勲氏は「選手が演じる表現力、演出、世界観を高めることを意識している」と話す。
コーセーによるフィギュアスケート選手へのメーク。演技の表現力や世界観を高める

 シンクロナイズドスイミングのメークは、距離が離れた審査員からみて「華やか・強さ」があるメークが重要。日本人の顔は海外勢に比べて平面的なため、立体感のあるメークが必要となる。

 このため、赤色が印象的な衣装であれば赤い口紅をつけるといった、衣装の中で一番面積が広く目に飛び込む色をメークに取り入れているという。

 水中で激しく動いても崩れないメークは、汗や水に強いウォータープルーフ処方の「ファシオ」など、全て市販の製品を使用。カバー力が強い固形ファンデーション「マキエクスペール」を、スポンジでたたき込んでベースを作る。

 アイメークはリキッドカラーを塗った後にパウダーカラーをのせ、更に上からリキッドカラーを重ね塗りして3層にする。口紅や頬紅は、色を塗った上にコートジェルを重ねることで水中でも落ちないメークが完成する。

 さらに、日頃のスキンケア指導も行っている。屋外プールなどでハードな練習を重ねる選手にとって、日焼けは「色の効果で黒く締まって見えてしまう」(石井氏)ため大敵だ。

 シンクロは演技を大きく、ダイナミックに見せることが大切。「白は膨張色で大きく見える」(同)ため肌を焼かないよう、日焼け止めや化粧水などを使ったアドバイスも欠かせない。
(文=山下絵梨)

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
05月05日
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フィギュアスケートでは、照明の光があたるスケートリンクで顔の立体感を出す。ラメ感やきらめき感をほお骨に出したメークにしたり、口紅が光沢のあるグロッシーだと回転の際に髪の毛が唇に着いてしまうため、マットな口紅を使用したりしている。
(日刊工業新聞第ニ産業部・山下絵梨)

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