トヨタ系中堅部品メーカー、今期業績への不安要因

円高に米の保護主義にリスク、価格改定率で取引先に配慮

 トヨタ自動車系中堅部品メーカー6社の2018年3月期連結業績予想は4社が増収を見込む。営業利益は3社が増益、3社が減益と明暗が分かれる。為替の円高による売上高や利益の減少は前期より和らぐが、引き続き下押し圧力となる見通し。市場別では北米や中国の堅調ぶりが目立つ。大豊工業は売上高が、ファインシンターは営業・経常利益で過去最高を見込む。

 経営トップからはトランプ米大統領の保護主義的な政策を不安視する声が相次いだ。メキシコに工場を持つ中央発條の高江暁社長は「関税がかかった場合に影響を減らすシミュレーションをしている」と、生産の分散を試行し始めたことを明らかにした。各社の為替想定は1ドル=105―110円、1ユーロ=110―115円。

 今期はトヨタ自動車の新設計思想「TNGA」関連の設備投資が国内外で本格化する。ファインシンターは6月に米国子会社で第2工場の本格稼働を予定し「現地の調達部門に売り込む」(井上洋一社長)考えだ。

 自動運転や車両電動化の流れを受け、次世代製品の研究開発投資にも傾注する。愛三工業の小林信雄社長は「電動化対応製品の開発に取り組む」、東海理化の三浦憲二社長は「自動運転のモード切り替えなどで当社技術を提案する」と話す。

 トヨタは取引先部品メーカーに対し、2017年度上期(4月―9月)の部品価格の引き下げ幅について、16年度下期(16年10月―17年3月)と同等水準を要請した。取引先の業種や業績により価格改定の数値は異なるが、今回は大半が1%未満の要求で、赤字の会社などは値下げが免除される場合もある。トヨタはグローバル競争が激化する中、取引先と一体となって原価低減活動を継続し、競争力を強める。

 トヨタは1年に2回、取引先部品メーカーと価格改定を交渉している。今回の交渉について、愛知県内の部品メーカー幹部は16年度下期と“同等に抑えた”というトヨタの意向を踏まえて「同水準なら仕方がない」としている。

 円高影響を受けた16年度のトヨタ業績は大幅に悪化する中で、トヨタは定期価格改定を低水準に抑えてきた。続く17年度も、米国事業採算悪化や原材料価格上昇が厳しく、収益見通しは非常に厳しいはずだ。

 それにもかかわらず、定期価格改定率を歴史的に低く抑え続ける意図には、経済を牽引する自動車産業の競争力の恩恵を産業裾野まで波及させることにある。
                  

日刊工業新聞2017年4月28日の記事に加筆

明 豊

明 豊
04月29日
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トヨタは引き続き系列サプライヤーの再編を継続している。大手だけでなく中堅メーカーも焦点。さらに独立系などとのM&Aにも踏み込んでいくか。

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