「焼きマシュマロコーヒー酒」、コンサート、「酒蔵ラボ」…神戸の酒蔵工夫それぞれ

海外輸出は過去最高なのに、国内では日本酒離れ…

 日本酒の生産量1位の兵庫県は灘五郷をはじめ丹波・篠山、姫路などに多くの酒蔵を有する。神戸税関によると2016年に神戸港からの日本酒輸出は量・金額とも過去最高を更新。海外で消費される日本酒は増えている。その一方で国内消費は伸び悩んでおり、灘五郷酒造組合でも若年層の酒離れに危機感を募らせる。組合員である清酒メーカー各社は「若者の日本酒愛飲者獲得」に工夫を凝らしている。

 業界首位の白鶴酒造(神戸市東灘区)は料理から若年層にアプローチする。主力商品「白鶴 まる」を料理酒として使ったレシピなどの紹介サイト「まるらぼ〜日本酒のある暮らし」を2月に開設した。手軽に作れ、日本酒に合う料理を掲載。チーズフォンデュやピザ、アレンジドリンクの「焼きマシュマロコーヒー酒」など、若い世代に親しみやすいメニューをそろえた。

 ノーベル賞晩さん会で振る舞われたことで知られる「福寿」の神戸酒心館(同)は「館を売る」戦略に出ている。蔵に併設の料亭を披露宴スペースとして活用。3年前からスタートし、16年は20件以上を受注。酒蔵ならではの披露宴で、若い夫婦や参列者に日本酒に親しみをもってもらう考えだ。かつての蔵をホールとして造り替えた「酒心館ホール」もコンサートやイベントスペースとして貸し出している。

 「白鹿」の辰馬本家酒造(兵庫県西宮市)は蔵開きイベントで、子どもや普段日本酒を飲まない人をターゲットにする。2月の同イベントでは子ども向けに発酵のメカニズムを研究員が教える「酒蔵ラボ」を実施し、母親や若い女性向けには地元洋菓子店と協力して酒スイーツを提供した。「ベタな蔵開きからの脱却を狙った」と端山裕樹マーケティング部マネージャーは話す。来場者は従来に比べ1500人程度増加し、以前よりも若年層の姿が目立ったという。

 神戸市内では、灘五郷の蔵元が一堂に会する新酒蔵開きイベント「灘五郷SAKEプラザ」が2月に開催された。来場した20代の女子大生は「CMなどで好きな人気俳優が飲んでいたり、購入後に会員制交流サイト(SNS)で投稿したら何かサービスが受けられたりすれば飲んでみたい」と話していた。歴史や伝統だけでは若年層へのアプローチは難しい。その中で時代に即した販売戦略をどう展開していくのか、各社の知恵が試される。
(文=神戸・大原佑美子)

日刊工業新聞2017年3月17日

昆 梓紗

昆 梓紗
03月17日
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この記事では「若者の日本酒離れ」となっていますが、最近では日本酒に関するイベントや日本酒バー、若い蔵人が作るいままでにない酒など、若者が日本酒に触れる機会が多くなっています。他の世代に比べ20代が日本酒を飲む割合が多くなっているという統計も出ています。ただ日本酒は種類が多いので、固定ファンを掴むのには苦労しそうです。リアルイベントはよいきっかけになると思います。

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