トヨタ、米国AI子会社の人員を5割増の300人体制へ

ギル・プラットCEO「運転の楽しさや快適性を高める」

 トヨタ自動車は、人工知能(AI)開発子会社の米トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)の人員を現在の約200人から300人規模に増員する。TRIは「走る・曲がる・止まる」の基本機能に加え、運転手の感情推定や車内での快適性向上につながる研究も進めており、幅広い人材の確保が必要と判断した。AIに強い人材の獲得競争があらゆる業界で激化する中、人材の囲い込みを急ぐ。

 TRIは当初、2017年初めの時点で約100人だった人員を年内をめどに200人に増やす計画だった。研究領域の広がりや米国内での3拠点化に対応し、技術者を大幅に増やす方針だ。

 トヨタは自動運転システムについて、人の運転を高度なレベルで支援する「ガーディアン」(守護者)と、人の介在しない完全自動運転を意味する「ショーファー」(お抱え運転手)の二つを開発中だ。ギル・プラットTRI最高経営責任者(CEO)は「ガーディアンは安全性向上だけでなく『運転の楽しさ』も高める。人が運転スキルを失うほどのガーディアンは作りたくない」とし、AIで運転の楽しさや快適性を高める研究も進める考えだ。

 トヨタは16年1月にAI研究のため米シリコンバレーにTRIを設立。CEOに元米国防総省国防高等研究計画局(DARPA)プログラムマネージャーのプラット氏を登用した。

 20年までの5年間でTRIに総額約10億ドル(約1100億円)を投じる。20年に市場投入を計画する高速道路での自動運転車の開発をはじめ、将来の自動車や家庭内ロボットへの応用を目指し、大学などと連携してAI開発を進める。

 自動運転技術の開発を巡っては米グーグルなどIT大手との競争が激化している。TRIはAI人材の採用を進める一方、7月にAIベンチャーに投資するファンドも設立。出資などを通じ先端技術にいち早くアクセスする体制を整えている。

日刊工業新聞2017年9月6日

明 豊

明 豊
09月10日
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たかが100人、されど100人。米国といえどもAI人材の引き抜き競争は激しい。対象となりうる人材が集まるかどうかもあるが、固定費も相当に上がる。人数より何をやりたいのか。近々、ギル・プラット氏のロングインタビューを公開する予定なので、お楽しみに。

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