日産の新しいデザインの顔「街乗りSUVブームもそろそろ終焉」

アルベイザ氏インタビュー「新しいものが何かを探っている」

 世界的に電気自動車(EV)の開発競争が激しさを増す中、商品価値を高める上で性能や機能だけでなく、デザインの重要性も高まっている。日産自動車はデザイン重視の車作りを推進し、成長を遂げてきた。4月にグローバルデザイン担当に就任したアルフォンソ・アルベイザ専務執行役員に、同社が注力するEVのデザインの方向性などを聞いた。

 ―EVなど車の電動化により、デザインのあり方はどう変わると考えていますか。
 「EVは構造的に、動力源であるインホイールモーターを複数搭載でき、いろいろなモジュールを組み合わせることでパワーを発揮する。つまり内燃機関車と比べて構成要素が劇的に変化するため、デザインの制約がなくなり、プロポーションもよりバランスがとれたモノが実現できる」

 ―デザイン業務への影響は。
 「我々の日常業務でも変化が起きている。仕事のやり方や組み合わせなどで日々新しい発見があり、まさに自動車の“ルネサンス期”を迎えたと言える」

 ―日産としてEVの商品群を今後拡充する中で、デザイン面で強みとなる部分は。
 「日本の“粋”を表現している点だ。私が考える粋とは、基本的なデザインの中に少しひねりを加えることで想定外の要素を包含させることだ。しかし今の自動車業界はセダンの人気が陰ってきて、クロスオーバー系もユーザーの間で飽きが出ており、新しいものが何かを探っている状態と言える。そのため当社がデザインの最先端を走るためにも、そうした変化に対して柔軟に粋を発揮していく必要がある」

 ―連合を組む仏ルノーと三菱自動車とデザイン面でどう連携しますか。
 「既に両社のデザイン部門長と私が定期的に顔を合わせ、プロジェクトの共有や先行技術のレビューに取り組んでいる。3者が違うアイデアを持っているので、意見交換を通じてそれぞれが取り組みたいことの共通項を洗い出し、優先順位を付ける。各社が持つDNAを尊重し、希薄化させないことが重要だ」

 ―デザイン面で今後取り組むべき課題は。
 「自動車の世界的な技術トレンドへのチャレンジだ。そのためデザイン部門に、コネクテッドカー(つながる車)サービス時代に対応するための新組織を6月に設けた。国内外のいろいろな業種から人材を募り、自動車用アプリケーション(応用ソフト)の画面構成などのユーザーインターフェース(UI)と、そのコンテンツ(情報内容)アイデアを創出することが狙いだ。コネクテッドサービスの開発部署とも連携し、ユーザーに使いやすいサービス開発やデザイン性の向上につなげる」

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
08月31日
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アルフォンソ氏は「技術の進化を生かしながら、顧客が新たにどういうモノを求めているかを組み合わせてデザインを考える必要がある」と強調する。急速に進む技術革新の動きをメーカーとユーザーの両視点で捉え、デザインに落とし込めれば、日産の商品力を一層高められるはずだ。デザインチームの今後の成果に注目したい。
(日刊工業新聞第一産業部・土井俊)

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