紙の手帳派に朗報?自分好みのレイアウトがオーダーできる!
キヤノンITソリューションズ「ネットde手帳工房」
キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS、東京都品川区、神森晶久社長)が始めた「ネットde手帳工房」は、手帳の中身のデザインを自分で作成できるサービスだ。9月に手帳の販売を始める。ITの活用と、モノづくりを得意とする町工場との連携によって、消費者一人ひとりに個別の商品を売るという新しいビジネスモデルに挑戦する。
同社きっての手帳好きの、セルフデザインECビジネス推進グループの小野忠グループ長が中心になって企画した。「1年間使い続ける手帳は、紙も製本も上質。しかし、(年末年始や年度初めなどの)販売時期を過ぎると廃棄されてしまう」(小野グループ長)。また、手帳で管理したい情報は人それぞれで、全ての人が自分にぴったりの手帳を使えているわけではない。
“売れる手帳をつくる”ためのマーケティングとは逆で、手帳として満足される品質を保ちつつ、自分のための手帳を簡単につくり、確実に届けるシステムがポイントとなる。手帳好きがたどり着いたほしい手帳は、オーダーメードだった。
仕組みはこうだ。ユーザーは、デザイン用のサイトで、マンスリーやウィークリー、デイリーなど好きなレイアウトを選ぶ。そして、選んだページは自由に並べ替えられる。また、白紙のページを増やすこともできる。
自分で、手書きのイラストやレイアウトのデータを取り込むこともできる。例えば、ファッションが好きな人は、見開きに7人のイラストが並んだレイアウトとし、毎日の服装を人のイラストに描き込めば、後で洋服のコーディネートを振り返られる。同様に、毎日の食事を記録したり、ネイルを記録したり、読書や映画鑑賞を記録したりと、使い方はアイデア次第だ。
小野グループ長は、「1990年代まで、手帳は会社や取引先からもらうものだった。00年以降、書店や雑貨店で選ぶものになった。17年以降、手帳は自分で『デザインするもの』になるのではないか」と期待する。
ただ、キヤノンITSは、印刷や製本については素人。そこで、印刷ではサンコー(同墨田区)、製本では篠原紙工(同江東区)と手を組んだ。サンコーは、デザインから印刷まで対応しているほか、会社の3階にはクリエイターのシェアオフィスがある。新しい印刷や本のあり方に、熱い思いを持つ会社たちだ。
両社との協力によって、一人ひとりに合わせた手帳をつくる個別印刷や、平置きしても閉じない製本技術、誤配送防止などの課題を解決した。版をつくるオフセット印刷は使えないため、オンデマンドのデジタル印刷を採用。1枚の印刷に複数面を割り付けることで、印刷効率を高めてコスト上昇を抑えた。
また、オーダーメードの手帳づくりは、最初から売れるものしかつくらないため、従来の手帳ビジネスの問題点だった大量の廃棄をなくせる。環境配慮の観点でも、新しい提案となる。
価格は1冊あたり5400円(消費税、送料込み)と高価だが、ブランド物の手帳ならあり得る価格帯だ。“自分ブランド”の手帳に、消費者がどう反応するかが注目される。(梶原洵子)
オーダーメード
同社きっての手帳好きの、セルフデザインECビジネス推進グループの小野忠グループ長が中心になって企画した。「1年間使い続ける手帳は、紙も製本も上質。しかし、(年末年始や年度初めなどの)販売時期を過ぎると廃棄されてしまう」(小野グループ長)。また、手帳で管理したい情報は人それぞれで、全ての人が自分にぴったりの手帳を使えているわけではない。
“売れる手帳をつくる”ためのマーケティングとは逆で、手帳として満足される品質を保ちつつ、自分のための手帳を簡単につくり、確実に届けるシステムがポイントとなる。手帳好きがたどり着いたほしい手帳は、オーダーメードだった。
レイアウト選択
仕組みはこうだ。ユーザーは、デザイン用のサイトで、マンスリーやウィークリー、デイリーなど好きなレイアウトを選ぶ。そして、選んだページは自由に並べ替えられる。また、白紙のページを増やすこともできる。
自分で、手書きのイラストやレイアウトのデータを取り込むこともできる。例えば、ファッションが好きな人は、見開きに7人のイラストが並んだレイアウトとし、毎日の服装を人のイラストに描き込めば、後で洋服のコーディネートを振り返られる。同様に、毎日の食事を記録したり、ネイルを記録したり、読書や映画鑑賞を記録したりと、使い方はアイデア次第だ。
小野グループ長は、「1990年代まで、手帳は会社や取引先からもらうものだった。00年以降、書店や雑貨店で選ぶものになった。17年以降、手帳は自分で『デザインするもの』になるのではないか」と期待する。
注文対応D印刷
ただ、キヤノンITSは、印刷や製本については素人。そこで、印刷ではサンコー(同墨田区)、製本では篠原紙工(同江東区)と手を組んだ。サンコーは、デザインから印刷まで対応しているほか、会社の3階にはクリエイターのシェアオフィスがある。新しい印刷や本のあり方に、熱い思いを持つ会社たちだ。
両社との協力によって、一人ひとりに合わせた手帳をつくる個別印刷や、平置きしても閉じない製本技術、誤配送防止などの課題を解決した。版をつくるオフセット印刷は使えないため、オンデマンドのデジタル印刷を採用。1枚の印刷に複数面を割り付けることで、印刷効率を高めてコスト上昇を抑えた。
また、オーダーメードの手帳づくりは、最初から売れるものしかつくらないため、従来の手帳ビジネスの問題点だった大量の廃棄をなくせる。環境配慮の観点でも、新しい提案となる。
価格は1冊あたり5400円(消費税、送料込み)と高価だが、ブランド物の手帳ならあり得る価格帯だ。“自分ブランド”の手帳に、消費者がどう反応するかが注目される。(梶原洵子)
日刊工業新聞2017年8月11日