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大和ハウスが茨城・阿見町に仕掛けた巨大物流施設の狙い

圏央道の沿道開発で主導権握る
大和ハウスが茨城・阿見町に仕掛けた巨大物流施設の狙い

同社最大級のマルチテナント型物流施設

 大和ハウス工業は、茨城県阿見町の圏央道・阿見東インターチェンジ近隣で、物流施設や工場を組み合わせた複合開発に取り組む。3カ所で計約32万平方メートルの用地を確保し、第1弾として同社最大級のマルチテナント型物流施設を先月31日に完成。同施設を呼び水にして、顧客専用の物流施設や工場の進出を提案。物流適地とされる圏央道の沿道開発の先駆けとする。

 大和ハウス工業は2017年春までに、物流施設が立地する約15万平方メートルの敷地に加えて、それぞれ約7万平方メートル、約10万平方メートルの土地を追加で取得。将来に旺盛な立地需要が見込めると判断した。

 31日に完成する物流施設「DPLつくば阿見」は5階建て延べ床面積約12万平方メートル。事業継続計画(BCP)対策に免震構造を採用した。総事業費は約250億円。複数テナントの入居を前提に汎用性に配慮した。

 大和ハウスが開発する物流施設の多くは、特定企業の専用施設として作るBTS(ビルド・トゥー・スーツ)型。大規模な物流施設団地の開発では、マルチテナント型施設を先行して建設し、顧客のニーズに応じて、冷蔵冷凍倉庫などBTS型施設を配置していく。

 同地域は都心まで車で約1時間の距離で東京湾岸部に比べて、倉庫賃料が3分の1から4分の1と安い。圏央道は都心から放射状に伸びる高速道路を同心円状に結び、港や空港との連絡も良い。工場や物流施設の都心部からの移転や分散する拠点の集約などで需要が顕在化するとみる。

日刊工業新聞2017年7月31日の記事を一部修正
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
大和ハウスの物流施設は国内で500万平方メートル超を開発済みで、トップグループの一角を占める。17年3月期から3カ年の中期経営計画でも3600億円を投じて拡大を進める。これまで完成品を扱う“販売物流”用途が多かった。地域によってさまざまなニーズがあることから、今後、マルチテナント型の物流施設で提案の幅を広げていくことになりそう。

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