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JAXA、日本人宇宙飛行士で月面探査へ

2025年以降に有人着陸
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は28日、2025年以降に日本人宇宙飛行士による月面探査を目指す考えを示した。25年ごろに準備が始まる国際共同での有人月面着陸計画に対し、日本人宇宙飛行士による月面到達権の確保を検討する。文部科学省の宇宙探査の小委員会で28日明らかになった。

 米国は月を回る軌道上に4人の宇宙飛行士が15-90日滞在することを想定した「月近傍拠点」を作る計画を検討している。同拠点は月面上で資源探査を行うローバー(探査車)の遠隔操作や地球との直接通信が難しい月裏側への通信中継を可能にするなど月探査ミッションに大きなメリットがある。さらに有人火星探査に向けた有人長期滞在の実証や軌道上の中継拠点としての役割も担う。

 JAXAは月近傍拠点計画に参加し米国の大型有人ロケットや宇宙船の能力を活用する一方、環境制御技術やロボット技術などの重要な要素技術を日本が担えるよう研究開発・実証を進め、技術を成熟させる。さらに民間の宇宙探査への事業意欲が芽生えている現状を鑑み、民間に低リスク技術を担当させ、JAXAは高リスクで大規模な技術を中心に取り組む方針としている。
日刊工業新聞電子版2017年6月28日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
「世界はなぜ月をめざすのか」の著著である佐伯和人氏によると、「国家の威信をかけて約10兆円という巨費を投じたアポロ計画以降、一時、月探査はなかったが1990年代から続々と再開されている。当時と比べると低コストで、安全に月へ探査機を飛ばせる時代になった。中国やインドも月探査に参戦しており、機が熟したのでないか。月には核融合に使うヘリウム3などさまざま資源もある。日本は探査機『はやぶさ』で微小重力天体への経験はあるが、重力天体への着陸は未経験だ。この技術を完成させれば宇宙技術のさらなる発展につながる」だそうです。

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