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スパコン省エネ性能、世界ランキングで日本が上位独占

1位東工大、2位ヤフー。計算速度は譲るけど実用性で存在感
スパコン省エネ性能、世界ランキングで日本が上位独占

液浸を採用したヤフーの「クウカイ」の内部構造(ヤフー提供)

 スーパーコンピューター(スパコン)の省エネ性能を競う世界ランキング「グリーン500」で、東京工業大学が8月に稼働する予定のスパコン「TSUBAME(ツバメ)3・0」が世界一に輝いた。2位はヤフー、3位は産業技術総合研究所となり、日本のスパコンの省エネ性能の高さを改めて世界に示した。これからの人工知能(AI)やビッグデータ(大量データ)分野の研究をけん引する、より実用的なスパコンとなる。

 ランキングは、ドイツで開催中のスパコンの国際会議(ISC)で発表された。

 ツバメ3・0は、1ワット当たり14・11ギガフロップス(ギガは10億、フロップスは1秒間当たりの浮動小数点演算)の性能を達成した。

 米エヌビディアの最新グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU、画像処理用半導体)を搭載し、外気に近い温度の冷却水を使って直接冷却するなどして高い省エネ性を実現したのが特徴。「冷却効率が高く、より少ない電力で計算が可能」(東工大)。AIやビッグデータの計算処理に強い。

 ヤフーの「kukai」(クウカイ)は、深層学習(ディープラーニング)に特化したスパコン。一般的な空冷ではなく、電気を通さない特殊な液体に、直接ハードウエアを漬け込む「液浸」手法を採用して冷却効率を向上した。東京大学と協力して機械学習によるチューニングで計算速度をさらに高めることに成功した。

 4月に稼働した産総研のスパコン「産総研AIクラウド」は、AI研究向けの共用計算プラットフォーム。空冷方式では世界一の省エネ性能を持つ。理研が富士通と運用する「RAIDEN」(ライデン)もAI研究用スパコンで、「研究の利便性と効率性を最重要視した」(理研)という。共同研究者にも開放する。
                

日刊工業新聞2017年6月21日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
グリーン500は、スパコンの消費電力当たりの性能(計算速度)を1―500位まで半年ごとに評価するランキング。一方、スパコンの計算速度を競う「トップ500」の最新ランキングでは、1、2位を中国が独占。3位をスイス、4―6位を米国が占め、日本勢は7位に東大と筑波大学の「オークフォレスト・パックス」、8位に理化学研究所の「京(けい)」が入るに留まった。 (日刊工業新聞科学技術部・藤木信穂)

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