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感性科学で実店舗とネットショップの相乗効果を!筑波大と楽天がコラボ

産学連携でアイデア続々
 インターネットショッピングでの購入満足度や製品画像から受ける印象など、感性科学の研究を進める筑波大学。そこに楽天がかかわり、実店舗と「楽天市場」のウェブ店舗の相乗効果を引き出すシステムの開発に向けてコラボレーション―。両者の共同研究は2016年秋に始まったばかりだ。

 しかし約30人の学部生と大学院生らの授業で産学連携教育も展開する。これにより「未来店舗」の実現に向けたアイデアが続々と出ている。

 筑波大に置く共同研究拠点には、楽天技術研究所の試作品が並ぶ。例えば本棚から抜き出した本のキーワードを、同社の電子書籍データを使って表示するデバイスだ。学生のアイデアから生まれたものもある。

 心拍測定デバイスを身に付けてダンスを踊り、心拍数に応じて照明や音楽を変える演出システムだ。

 同大の山中敏正教授は「デザインの世界では“行ったり来たり”で社会での実用化を目指すことが重要だ」と、この空間の存在意義を強調する。

 同社の楽天技術研究所の益子宗マネージャーも、「従来の情報や工学の共同研究と違い、芸術系とでは何が生まれるか分からない」と刺激的な場がある魅力を感じている。

 分野の敷居が低く学際的な同大で、卒業生かつ非常勤講師をしていた益子マネージャ―が両機関をつないだ。東京都世田谷区の同社と距離はあるが、「インターンシップ(就業体験)による実装例や共同論文も、まもなく出てくるはず」(益子マネージャー)と成果を期待している。
日刊工業新聞2017年6月22日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
情報技術や工学とは違うアプローチがユニークです。マーケティングがビッグデータ解析一辺倒になりつつある昨今、興味深い取り組みといえます。

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