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「後発なら飛び抜けたものを」 ホンダが中国向けEVから新設計手法

20年めどにモジュール化設計導入
「後発なら飛び抜けたものを」 ホンダが中国向けEVから新設計手法

ホンダの小型EV試作車「NeuV」

 ホンダは2020年までに、複合部品(モジュール)を組み合わせる新たな設計手法を導入する。異なる車種間で共通部品を採用し、部品の量産効果を高めてコスト削減、開発期間の短縮を図る。第1弾として新設計手法を採用した電気自動車(EV)を19―20年に中国市場に投入する。中国は18年から環境規制を強化する見通しで、新設計手法を武器に車両の開発費を抑えつつ商品競争力を強化し、現地で需要が拡大するEV市場を深耕する。

 モジュールを組み合わせた設計手法は独フォルクスワーゲントヨタ自動車日産自動車が採用している。ホンダでは現在、部品群の組み合わせによる設計手法の確立を進めている段階。中国でEVなどの電動化対応車の市場が今後さらに広がる中、新設計手法の確立時期として「良いタイミング」(同社幹部)と判断。まずは19―20年にEVに適用する。

 ホンダは4輪車販売台数に占めるEVやプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)など電動車の比率を、30年までに3分の2(17年3月期は約5%)まで高める方針。17年には米国でEVとPHV、18年には中国でEVの販売を始める。

 中国は大気汚染対策の一環で、18年に「新エネルギー車クレジット管理規則(NEV規制)」を導入する予定。それに伴い、生産・輸入が一定規模以上のメーカーは、一定割合を新エネルギー車(NEV)のEV、PHV、FCVにすることが求められる。

 富士経済によると、中国の15年のEV販売台数は15万台だった。政府のEV普及戦略などを追い風に今後も拡大が見込まれ、35年には203万台まで増える見通しだ。

日刊工業新聞2017年5月31日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
フォルクスワーゲン、トヨタ、日産がそれぞれ、MQB、TNGA、CMFなどといった新設計手法を打ち出しているが、ホンダはまだ明確に表向けに発信していない。昨年、研究開発トップの松本専務にインタビューした際に、「効率的に車作りをするのに新設計手法を考えている。例えばガソリン車と電動車でそれぞれ最適な設計を検討することが考えられる。ガソリン車と電動車で同じ設計だと空間に無駄が生じるから」などと話していたが、後発ながらこの構想が実現に向けて進捗しているようだ。「後発からやるなら飛び抜けたものを」という社内モットーがあると聞いたことがあるが、どんな仕上がりになるか楽しみだ。

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