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10年後には「建設職人」100万人超が離職、鹿島が多能工を育成

人手不足対策、協力会社にも波及
10年後には「建設職人」100万人超が離職、鹿島が多能工を育成

設置工事の多能工を育成(イメージ)

 鹿島は建物の設備工事について、複数の異なる作業をこなす技能を身に付けた「多能工」を育成する。グループ会社を活用して技能者を雇用し、設備工事に関する複数の作業を行えるようにする。多能工の育成により、省人化や生産性向上を実現。将来は協力会社にも多能工を波及させ、建設現場の生産改革につなげたい考え。

 鹿島のグループ会社のクリマテック(東京都新宿区、西田文明社長)が4月、全額出資で「クリマ・ワークス」(同新宿区)を設立した。資本金は2500万円。従業員は12人で、うち11人が配管工の技能者。2017年度中に配管工の技能者を計15人確保する。

 クリマテックは設備に関する設計や工事の請負が主力。新会社で空調や衛生設備の工事、防災関連の設備工事、電気工事を行う。当面は配管工技能者が衛生設備を手がけながら、空調のダクト工事もできるようにする。今後、電気工事の技能者も採用し、数年後をめどに、広範囲の設備を施工できる多能工を育成していく。

 鹿島が設備工事の多能工化に取り組む背景には、技能者が高齢化し、大量離職に伴う人手不足が予想されるため。建設業界全体で、10年後に約100万人以上が離職するとみられる。

 鹿島は人手不足対策の一つの切り口として多能工化を進める方針。多能工化により現場の生産性向上を実現し、協力会社にも波及させていく。その結果、新たな建設生産システム構築も可能とみる。
日刊工業新聞2017年5月24日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
内装工事は、すでにグループ会社と共同で「鹿島フィット」(港区)を設立。耐火被覆と軽量気泡コンクリート(ALC)の技能者の雇用や育成に着手した。内装工事の多能工化も目指す。 (日刊工業新聞第ニ産業部・村山茂樹)

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