ソニーモバイル社長は“ポスト平井”の大本命!?

構造改革路線は一区切り

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平井社長
 ソニーは23日、経営方針説明会を開き、2018年3月期に営業利益5000億円、自己資本利益率(ROE)10%以上の目標必達を掲げた。98年3月期以来20年ぶりの利益水準で、会見した平井一夫社長兼最高経営責任者(CEO)は「過去5年で十分に目標を狙える力がついてきた」と、手応えを示した。18年3月期はゲームや半導体といった成長事業の伸長に加え、課題の残る映画事業とスマートフォン事業の収益力向上が、目標達成への指標となる。

 「成長をけん引する最大の事業」(平井社長)がゲーム事業だ。家庭用ゲーム機「プレイステーション4」は年間1800万台の販売目標を据える。ネットワークサービスの投入や有料会員向けサービスを強化し、継続的に稼ぐビジネスモデルで伸ばす。16年に投入したVR(仮想現実)端末「プレイステーションVR」は、ゲーム以外のコンテンツ開発を進める。

 半導体事業は熊本地震からの回復により、大幅に収益が向上する見通し。高性能・高画質画像センサーを、スマホだけでなく自動車やFA機器といった他の用途に展開して事業拡大を図る。

 収益性の安定したテレビ事業は拡大路線にシフトする。「いたずらにシェアは追わないが、地域性を見極めて適合する所は集中的に攻める」(平井社長)。

 課題が残るのは映画とスマホ事業だ。映画では財務基盤の強化に最優先で取り組み、ヒット作の「打率を高める」(同)ことで収益を上げる。スマホは高性能画像センサーによる差別化や、販売地域の絞り込みを行う。

 19年3月期以降に向け、新規事業創出も加速する。平井社長は「多彩な事業を抱えるソニーだからこそ、それらを組み合わせて新規事業を生み出せる」と力を込める。6月にはソニーモバイルコミュニケーションズの十時裕樹社長が、最高戦略責任者に就任して新規事業全般を担当する。ロボットや人工知能(AI)でも複数のプロジェクトを進めており、事業化に向けた動きを強める。
              

 平井社長はソニーを「事業を通じて感動を与える会社だ」とした。その軸は就任以来ぶれていない。一方で理念を具体的な施策に落とし込んで戦略として示せているかは、不足している印象も否めない。

 平井社長と吉田憲一郎副社長による“ソニーの変革”は一区切りついた。ただ平井社長は「高いレベルの利益を実現しても、これまで継続できたことがなかった」と振り返る。18年3月期の目標達成は「あくまでも我々にとってのマイルストーン」(平井社長)。その後4000-5000億円、さらにはそれ以上の利益水準を複数年度にわたって維持できるかが新たな挑戦だ。

 加えて今回目標を達成できたとしても、その業績はこれまでのリストラ効果による部分が大きい。17年度は次期中計を策定する年でもある。平井社長は「高収益を確保し、新しい価値を生み出す具体的な施策に落とし込む」とした。これからは新たな伸びしろとなるような、真の成長につながる事業を生み出せるかが問われることになる。
(文=政年佐貴恵)
十時氏

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日刊工業新聞2017年5月24日

COMMENT

明豊
執行役員デジタルメディア局長 DX担当

今のソニーは2013年にソネットから本社に戻ってきた吉田CFOと十時さんが構造改革を主導し収益の安定化に寄与した。吉田ー十時ラインは、ネット事業にも精通し構造改革だけでなく新規の種をもまける人たち。十時さんは10年前にソニーでCVCをやっていたこともある。十時さんに次の社長を任せてみたい。吉田さんが後見人で。

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