フォードCEO退任、マツダとの関係は?
トヨタを介して新たな“つながり“は生まれるか
米フォード・モーターのマーク・フィールズ最高経営責任者(CEO、56)22日付で退任した。株価低迷から抜け出せず、株主や取締役会からの圧力が強まっていた。フィールズ氏は、かつてフォード傘下だった日本のマツダで社長を務めたこともある。後任には自動運転などの開発部門を率いるジム・ハケット氏(62)が就いた。
フォードはマツダを介しても日本の自動車産業に関わっていた。マツダに出資したのは79年。ロータリーエンジンへの集中策が裏目に出て経営難に陥っていたマツダの25%の株式を取得した。96年にはさらに33・47%まで買い増してグループ化。同年から02年まで4代にわたって社長を送り込んだ。
99年から02年まで社長を務めたフィールズ氏はその後、フォードのトップに上り詰めた。
フォードによるマツダの改革には一定の成果があった。広島の盟主として大企業意識が抜けない風土の改革や、現在につながる「ブランド価値経営」を掲げ、走りやデザインの競争力強化に経営資源を集中させてきたことなどだ。
一方で、スウェーデンのボルボを含めた3社間での、小型車向け車台(プラットフォーム)の共通化では、狙ったようなコストダウンの成果は出なかった。
マツダが米国市場での販売力に後れを取っているのも、フォードの世界戦略の中で役割分担させられていた後遺症と言える。マツダのフォードグループ入りが果たして成功だったか失敗だったかは、両面あって評価が難しい。
その後、リーマン・ショックによる経営悪化を受けて、フォードは08年以降段階的にマツダ株を売却。マツダの増資などもあって持ち株比率は2・08%まで低下していたが、15年4―9月期にすべて売却した。
現在両社はタイでの車体生産と中国でのエンジン生産での合弁事業や、小型ピックアップトラックの共同開発など一部に共同事業を残しているだけだ。フィールズ氏の退任で両者の関係はどのように変化していくのか。
マツダは現在、トヨタ自動車と提携しその具体化を検討している。そのトヨタは「つながるクルマ」の実現に向けフォードと関係が近い。自動運転の責任者だったハケット氏のCEO就任で、トヨタを介して新たな“つながり“が生まれるかもしれない。
フォードはマツダを介しても日本の自動車産業に関わっていた。マツダに出資したのは79年。ロータリーエンジンへの集中策が裏目に出て経営難に陥っていたマツダの25%の株式を取得した。96年にはさらに33・47%まで買い増してグループ化。同年から02年まで4代にわたって社長を送り込んだ。
99年から02年まで社長を務めたフィールズ氏はその後、フォードのトップに上り詰めた。
フォードによるマツダの改革には一定の成果があった。広島の盟主として大企業意識が抜けない風土の改革や、現在につながる「ブランド価値経営」を掲げ、走りやデザインの競争力強化に経営資源を集中させてきたことなどだ。
一方で、スウェーデンのボルボを含めた3社間での、小型車向け車台(プラットフォーム)の共通化では、狙ったようなコストダウンの成果は出なかった。
マツダが米国市場での販売力に後れを取っているのも、フォードの世界戦略の中で役割分担させられていた後遺症と言える。マツダのフォードグループ入りが果たして成功だったか失敗だったかは、両面あって評価が難しい。
その後、リーマン・ショックによる経営悪化を受けて、フォードは08年以降段階的にマツダ株を売却。マツダの増資などもあって持ち株比率は2・08%まで低下していたが、15年4―9月期にすべて売却した。
現在両社はタイでの車体生産と中国でのエンジン生産での合弁事業や、小型ピックアップトラックの共同開発など一部に共同事業を残しているだけだ。フィールズ氏の退任で両者の関係はどのように変化していくのか。
マツダは現在、トヨタ自動車と提携しその具体化を検討している。そのトヨタは「つながるクルマ」の実現に向けフォードと関係が近い。自動運転の責任者だったハケット氏のCEO就任で、トヨタを介して新たな“つながり“が生まれるかもしれない。
日刊工業新聞2016年1月27日の記事を加筆・修正