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【今週のリケジョ小町】入社5年目でダム30基のゲートを制御

中部電力 鈴木茉理絵さん
 入社5年目でダム30基のゲート制御に携わる鈴木茉理絵さん(24)。愛知県や静岡県などを流れる矢作川や天竜川、豊川にある小型水力発電所用のダムを受けもつ。発電に必要な水量を確保しつつ、河川の安全を保ち放流するなど気を配る。子供の時から自然が好きで、地球温暖化を何とかしたいとの思いで今の道に進んだ。自然を相手にする仕事はゲリラ豪雨対策など経験も必要だが「ライフライン事業は顧客の当たり前を守るすごいこと。責任を持てる」とやりがいを感じている。

水力発電分野で活躍したい


 豊田工業高等専門学校環境都市工学科では魚がダムなどを迂回(うかい)して川をさかのぼるための魚道を研究しました。魚が通りやすい構造を水の流れ方や強さなどを比べて追究します。魚道も持つダムもあり、今の仕事に役立っています。

 豊田高専は寮生活で、勉強だけでなく人間関係なども学び、精神面が鍛えられました。運動は苦手ですが、所属した軟式テニス部では東海大会の個人戦で勝つことができ、苦手なことも続ければ結果を出せると実感しました。

 再生可能エネルギーに関わる仕事がしたくて、中部電力に入社しました。ダムのゲート制御では、雨の予想が的中し、川の水位が大きく変動しないよう放流して管理できた時は達成感があります。

 電気で命をつないでいる人もいるので、責任の大きさを痛感しながら、3人で構成するチームの意見を尊重して的確な作業を心がけています。

 将来はダムのゲート制御、保全、補修工事の中から一つの道を究め、水力発電分野で活躍したいです。知識を深めるだけでなく、山奥の現場を歩き回る体力をつける必要があります。中部電力では技術系の女性社員にキャリア形成などの話を聞く機会があります。育休制度などを活用しながら結婚や出産などを経ても働き続けたいです。

 休日は母や友達と旅行へ。月1回は温泉や観光地に行ってリフレッシュしています。
                

(文=名古屋・市川哲寛、写真=杉本要)
日刊工業新聞2017年5月22日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
じわじわダムブームが来ているようです。あるダムでは工事の見学ツアーも開催されています。大迫力の裏には鈴木さんのような「当たり前を守る」人たちがたくさん存在しています。

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