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三菱ケミカル、残業回避へ会議半減。書式統一、紙・スライド1枚に

三菱ケミカル、残業回避へ会議半減。書式統一、紙・スライド1枚に

トップ主導で個人・組織の活性化を目指す(三菱ケミカルの越智仁社長)

 三菱ケミカルは2020年度までに本社スタッフを中心に残業を大幅に減らす。社内会議の半減などで本来業務に集中することで、生産性を現状比20%向上させる。4月の発足を機に従来の業務の流れを見直す。世界経済の不確実性が高まる中、持続的な成長を目指す上で新規事業創出やグローバル展開などの経営課題が山積みだ。社員の能力最大化や優秀人材の確保のためには抜本的な働き方改革が必要となる。

 三菱ケミカルはまず本社と国内の研究所、工場などで働き方改革を実行する。17年度上期中に各所へ周知徹底して、同下期から本格始動させる。国内従業員は約1万3000人で、本社勤務はそのうち1割強だ。

 社内会議について回数や時間、参加者の半減を目指す。資料作成を含めた会議関連の業務が本社などで1日の就業時間の平均約30%を占めており、それを15%に削減したい考え。

 より付加価値の高い業務へ集中させて、生産性を20%高める。また、社内会議資料は紙・スライド1枚に原則制限して、書式の標準化も目指す。業務メールを減らす指針も検討する。

 一連の働き方改革で理論上は2時間程度の就業時間を短縮でき、これまで9時始業で20時まで残業していた社員が18時頃に退社できるようになる。ただ、工場などの一部業務は、操業に支障が出る恐れがあるため対象外とする方針だ。

 残業回避だけが目的ではなく、各従業員が新たに生まれた時間を新製品・サービス開発などの付加価値業務に充てたり、自身の能力アップにつなげたりすることを期待する。
日刊工業新聞2017年4月25日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
三菱ケミカルは17年度から健康経営に本格的に取り組む。個人や職場の活性化を図りながら、健康増進と生産性向上を両立させる。 (日刊工業新聞第ニ産業部・鈴木岳志)

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