ホンダの自前主義の殻を破った日立AMS、次は何を破る?
関社長インタビュー。「自動運転時代のサプライヤーとして存在感を」
日立オートモティブシステムズ(AMS)が電動車両や自動運転車向け部品事業で攻勢をかけている。電動車両用モーター事業でホンダとの提携を決めたほか自動運転用電子制御ユニット(ECU)など基幹部品の開発を積極化する。今後日立製作所など日立グループ企業との連携を強め競争力を高める。関秀明社長に今後の戦略を聞いた。
―ホンダと電動車両の基幹部品であるモーター事業の合弁会社を7月に設立します。
「中国などで電気自動車(EV)をはじめとする電動車両が普及拡大する見通しで、電動車両用モーターを安定供給するための巨額な設備投資をどう抑えるべきか考えた時に(合弁事業を始めることで)両社の意見が一致した。ホンダさんとは以前から取引があり自然な流れで話が進んだ。新会社は茨城県ひたちなか市に設置して、米国と中国・広州地区での生産を検討する」
―ホンダ以外の完成車メーカーの反応は。
「競争力の高いモーターなら使ってみたいという取引先がいらっしゃる。生産コストの削減などさまざまなメリットがでてくると思うので、(顧客に)還元できればと考えている」
―自動運転関連分野では2020年にシェア10%達成の目標を掲げています。
「日産自動車のミニバン『セレナ』に当社の自動運転用ECUが採用されたほか、スマートフォンを使って遠隔操作できる自動駐車システムを1月に米ラスベガスで開催された家電見本市『CES』で公開した。部品の受注、技術開発ともに着実に進んでいる。自動運転時代のカーパーツサプライヤーとして存在感を示していきたい」
―独ボッシュ、コンチネンタルなどメガサプライヤーとの競争が激しいですがどう戦いますか。
「日立製作所や子会社のクラリオンと連携したソリューション提案を積極化する。例えば日立はITや人工知能(AI)で技術や知見を持つ。無線を使って遠隔で車のソフトウエアを更新するなど自動運転時代に必要な技術をワンストップで顧客に提供できる。日立グループの資産をうまく活用して差別化を図ってきたい」
【記者の目】
電動車両や自動運転など新しい車の競争軸が生まれ、完成車メーカーの開発領域が増えている。日立AMSとホンダの組み合わせは意外だったが、コストを抑えながらモーターの競争力を効率良く高めることが求められており、提携はごく自然な流れだったとも言える。また、日立AMSにとってはホンダ以外の顧客のニーズをキャッチして製品を拡販できるかが事業拡大のカギを握っていそうだ。
(文=下氏香菜子)
―ホンダと電動車両の基幹部品であるモーター事業の合弁会社を7月に設立します。
「中国などで電気自動車(EV)をはじめとする電動車両が普及拡大する見通しで、電動車両用モーターを安定供給するための巨額な設備投資をどう抑えるべきか考えた時に(合弁事業を始めることで)両社の意見が一致した。ホンダさんとは以前から取引があり自然な流れで話が進んだ。新会社は茨城県ひたちなか市に設置して、米国と中国・広州地区での生産を検討する」
―ホンダ以外の完成車メーカーの反応は。
「競争力の高いモーターなら使ってみたいという取引先がいらっしゃる。生産コストの削減などさまざまなメリットがでてくると思うので、(顧客に)還元できればと考えている」
―自動運転関連分野では2020年にシェア10%達成の目標を掲げています。
「日産自動車のミニバン『セレナ』に当社の自動運転用ECUが採用されたほか、スマートフォンを使って遠隔操作できる自動駐車システムを1月に米ラスベガスで開催された家電見本市『CES』で公開した。部品の受注、技術開発ともに着実に進んでいる。自動運転時代のカーパーツサプライヤーとして存在感を示していきたい」
―独ボッシュ、コンチネンタルなどメガサプライヤーとの競争が激しいですがどう戦いますか。
「日立製作所や子会社のクラリオンと連携したソリューション提案を積極化する。例えば日立はITや人工知能(AI)で技術や知見を持つ。無線を使って遠隔で車のソフトウエアを更新するなど自動運転時代に必要な技術をワンストップで顧客に提供できる。日立グループの資産をうまく活用して差別化を図ってきたい」
【記者の目】
電動車両や自動運転など新しい車の競争軸が生まれ、完成車メーカーの開発領域が増えている。日立AMSとホンダの組み合わせは意外だったが、コストを抑えながらモーターの競争力を効率良く高めることが求められており、提携はごく自然な流れだったとも言える。また、日立AMSにとってはホンダ以外の顧客のニーズをキャッチして製品を拡販できるかが事業拡大のカギを握っていそうだ。
(文=下氏香菜子)
日刊工業新聞2017年4月19日