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トヨタグループの再編「競争がなければいい車にならない」(デンソー社長)

有馬浩二社長インタビュー。協調と競争の整理が重要に
 ―トランプ米大統領就任後の影響についてどうみていますか。
 「就任演説後いろいろな施策を打ち出すと思うが2017年度の計画にどう織り込むか、先は読めない。北米市場についても、どう変わるか読めないが急に上昇するような楽観視はしていない」

 ―17年度をどう位置づけますか。
 「自動車業界でパラダイムシフトが起こる兆候が顕著にあらわれ競争は今までになく厳しい状況にある。昨年は次の世代に向けて仕込みをする変革元年と位置づけた。17年は本当に変わり始めたか、政治情勢やパラダイムシフトも乗り越えられる力をつける方向に向かっているか、真価が問われる年」

 ―自動運転分野の方向性は。
 「自動運転車を車の中、いわゆるインカーの制御と車外との通信・コネクティッドのアウトカーに分けると、その間をつなぐインターフェースが重要な役割を持ってくる」

 「当社はもともとインカーには詳しい。アウトカーの一部とインターフェースの技術力を磨き、いかに信頼度の高いシステムに仕立てられるかが肝となる」

 ―欧州メガサプライヤーが攻勢をかける中、トヨタ自動車グループの連携、再編についてどう考えますか。
 「トヨタの車を、よりいい車にするため、さらに密な連携が必要だ。ただ、いい意味での競争環境は大事だと思う。(再編して)こういうグループでやるんですよと決めると競争にさらされない状態になり、結果いい車にならない」

 「もちろん無駄な競争は必要ない。例えばあるプラットフォーム(基盤)をつくる時は協調し、サブシステムやコンポーネントは競争してもいい」

 ―電動化の流れが加速しています。
 「フォルクスワーゲンの(排ガス不正問題の)件も含め世界的にEV(電気自動車)をやるんだというスイッチが入った。EVは制御が比較的単純だからコネクティッド車との相性が良く、あるところまで数は増えるだろう。ただ爆発的に普及するかはわからない」

 「電動化はEVでもFCV(燃料電池車)でも熱マネジメントが課題となる。当社にはその知見があるので貢献していきたい」
日刊工業新聞2017年1月13日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
1社がシステムすべてをまとめ標準品として売り込む欧州メガサプライヤー。トヨタグループは最近「連携」「一体感」を強く打ち出しているが、欧州勢のような極端な形ではない。ある意味、複雑な立ち位置とも言えるデンソーが、どの領域の連携でリーダーシップを執るのか。グループ内の協調と競争の整理が重要となる。 (日刊工業新聞名古屋支社・伊藤研二)

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