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チョコエッグで一世を風靡したフルタ製菓、ユニーク製品発想のひみつ

「変わらない良さと変わる良さである」
チョコエッグで一世を風靡したフルタ製菓、ユニーク製品発想のひみつ

自社製品を持つフルタ製菓の古田社長

**キャラとコラボ
 フルタ製菓(大阪市生野区、古田盛彦社長、06・6719・6161)は1952年の創業以来、「セコイヤチョコレート」や「チョコエッグ」など独自の発想で相次ぎチョコレートのヒット商品を生み出してきた。ヒットした商品を飽きさせないため、キャラクターなどとのコラボや流行の味を随時取り入れ、需要を喚起しロングヒットにつなげている。

 76年発売のセコイヤチョコレートは、ウエハース入りのチョコレートバー。ロングヒットの秘訣(ひけつ)は「変わらない良さと変わる良さである」と古田社長は強調する。価格は発売当初と同じ30円で提供しつつ、流行の味を随時取り入れている。販売本数は2016年に累計13億本を突破した。

 チョコエッグは99年の発売。タマゴ型のチョコレート内にカプセルがあり、その中に組み立て式の精巧なフィギュアが入っている。「復活祭(イースター)エッグをヒントに製品化した」(古田社長)。動物シリーズでブームとなり「食玩(しょくがん)」、「大人買い」、「シークレット」の新語も生まれた。中身の玩具はシリーズ化され、2017年3月に発売したディズニーキャラクター起用の「ツムツムセレクション」で、シリーズ累計86弾を記録。時代のキャラクターに合わせて展開し、16年3月までの総販売数は約2億8000万個にのぼる。

地域と連携


 16年にはセコイヤチョコレート発売40周年を記念し、セコイヤの名前が縁でメタセコイア並木で有名な滋賀県高島市と包括連携協定を締結。それを機に高島市だけで買えるオリジナルセコイヤを同年10月に発売し、1万個を突破するなど地域連携という新しいコラボにも取り組んでいる。
フルタ製菓と高島市の包括連携協定の締結式(右が古田社長)

 コラボなどおいしさプラスアルファの発想は、他社とは違ったユニークな製品開発を手がける創業からの遺伝子を受け継いでのもの。

 こうした製品開発に知恵やアイデアが要求される中、同社は工場現場を含め、全社員が新製品を提案する制度を設けている。約8割の社員が積極的に提案している。毎日の職場の朝礼などを通じて業界や自社の情報などを共有し、製品開発につなげる土壌を育んでいる。

随一の売り上げ


 92年発売の生クリームチョコは長年培ったノウハウを生かし、16年の売り上げは当初の40倍。同社随一の売り上げを誇り、その主柱に成長した。ポートワイン風ジャムのコーティング、柿の種との組み合わせや人気スイーツ店「マダムシンコ」とのコラボ品なども販売した。

 15年に約40年ぶりに新設した平尾工場(堺市美原区)稼働を機に、ソフトクッキーなど新分野にも参入。チョコ分野と同様、味の変化とコラボで売り上げを伸ばしている。今後は「キャラクターのみならず健康を意識するなど他分野のコラボを検討していきたい」(同)考えだ。
(文=大阪・香西貴之)
日刊工業新聞2017年4月21日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
「セコイヤチョコレート」は会社の敷地内に生えていたメタセコイヤの名前が由来だそう。子供のころチョコエッグをなかなか買ってもらえなかった記憶がよみがえりました。

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