コミュニケーションロボットが家電量販店の文化を変える
ノジマ−イベントが商品説明に利用、集客効果にも
ノジマは同社の家電量販店舗で、日立製作所の人型コミュニケーションロボット「EMIEW(エミュー)3」を来客向けイベントや商品説明に利用する実証実験を2016年12月から17年3月まで行った。一定の集客効果があったため今後もロボットの活用を進めたい方針だ。実験では利点と同時に課題も見えてきた。ロボット側の改善も求めていきたいとしている。
ノジマのトレッサ横浜店(横浜市港北区)。大型画面の横にエミュー3が立ち、20人ほどの来客へ「電力消費の少ない家電は?」といったクイズを音声と画面で出していく。
〇×形式が主で、5問連続正解した人は難易度の高いクイズに挑戦する。2問正解するとノジマのポイントや家電セットがもらえるので皆真剣だ。クイズに参加した男性は「ロボットはもともと好きで、実際にやりとりできて楽しかった」と満足げだった。
ノジマはこうしたエミュー3を使ったクイズ大会や商品紹介のイベントを複数店舗で実施してきた。今年3月には新店の川崎水沢店(川崎市宮前区)の洗濯機コーナーで、来客と対話しながらその客にあった洗濯機を提案する、という試みも行った。トラブルもなく、エミュー3の見た目やしぐさが気に入られて興味を持ってもらえたという。
エミュー3の採用を決めたITシステム部の多田雅哉部長は実験について「100点ではないが、想定のものはできた」と満足げ。チラシやメールマガジンでイベントを告知し、閑散としがちな平日の日中などにかなり集客効果があったという。
そこで、今後もエミュー3が持つ移動や転んで起き上がる機能などを生かした接客や社内業務システムと連携した試みができれば、と調整を進めている。
一方で、エミュー3への課題も分かってきた。まずは対話。店舗の案内音や会話などがある中で対話するには聞き取り能力の向上が求められる。またユーザー側で対話シナリオなどを簡単に作れると、イベントのバリエーションが増やしやすい。さらに、ノジマのスタッフとしての“色”も加えたいという。これはユーザーとメーカーの一層の連携が必要とされる。
ノジマはエミュー3以外のロボットについても積極的に導入したいという。シャープの「ロボホン」など「いろいろなロボットを取り寄せて試している」(多田部長)。ノジマ本社(横浜市西区)の受け付けにはソフトバンクのペッパーを置き、採用で来社する人への案内をしている。
販売でも講談社が発刊した、全巻購入で鉄腕アトムのロボットが作れる分冊百科『コミュニケーション・ロボット 週刊鉄腕アトムを作ろう!』を扱う。多田部長は、今後もロボットで「新しいことに挑戦し、顧客満足度を高めるだけでなく日本の文化も変えていきたい」としている。
(文=石橋弘彰)
ノジマのトレッサ横浜店(横浜市港北区)。大型画面の横にエミュー3が立ち、20人ほどの来客へ「電力消費の少ない家電は?」といったクイズを音声と画面で出していく。
〇×形式が主で、5問連続正解した人は難易度の高いクイズに挑戦する。2問正解するとノジマのポイントや家電セットがもらえるので皆真剣だ。クイズに参加した男性は「ロボットはもともと好きで、実際にやりとりできて楽しかった」と満足げだった。
ノジマはこうしたエミュー3を使ったクイズ大会や商品紹介のイベントを複数店舗で実施してきた。今年3月には新店の川崎水沢店(川崎市宮前区)の洗濯機コーナーで、来客と対話しながらその客にあった洗濯機を提案する、という試みも行った。トラブルもなく、エミュー3の見た目やしぐさが気に入られて興味を持ってもらえたという。
エミュー3の採用を決めたITシステム部の多田雅哉部長は実験について「100点ではないが、想定のものはできた」と満足げ。チラシやメールマガジンでイベントを告知し、閑散としがちな平日の日中などにかなり集客効果があったという。
そこで、今後もエミュー3が持つ移動や転んで起き上がる機能などを生かした接客や社内業務システムと連携した試みができれば、と調整を進めている。
一方で、エミュー3への課題も分かってきた。まずは対話。店舗の案内音や会話などがある中で対話するには聞き取り能力の向上が求められる。またユーザー側で対話シナリオなどを簡単に作れると、イベントのバリエーションが増やしやすい。さらに、ノジマのスタッフとしての“色”も加えたいという。これはユーザーとメーカーの一層の連携が必要とされる。
ノジマはエミュー3以外のロボットについても積極的に導入したいという。シャープの「ロボホン」など「いろいろなロボットを取り寄せて試している」(多田部長)。ノジマ本社(横浜市西区)の受け付けにはソフトバンクのペッパーを置き、採用で来社する人への案内をしている。
販売でも講談社が発刊した、全巻購入で鉄腕アトムのロボットが作れる分冊百科『コミュニケーション・ロボット 週刊鉄腕アトムを作ろう!』を扱う。多田部長は、今後もロボットで「新しいことに挑戦し、顧客満足度を高めるだけでなく日本の文化も変えていきたい」としている。
(文=石橋弘彰)
日刊工業新聞2017年4月14日