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半導体・液晶用フォトマスクの投資が活発に

市場の好況を受け各社が増産
半導体・液晶用フォトマスクの投資が活発に

エスケーエレクトロニクスの液晶パネル向けフォトマスク(展示用)

 エスケーエレクトロニクスは高精細な中小型液晶パネル用フォトマスクの生産体制を強化する。中小型向けの需要増に対応するほか、仮想現実感(VR)機器で使うフォトマスクなど高付加価値製品のニーズにも対応する。2017年夏までに国内外の工場で、老朽化した描画装置などを入れ替えて歩留まりの改善などを進める。17年9月期に70億円の設備投資を計画する。

 設備投資するのは京都工場(京都府久御山町)、滋賀工場(滋賀県甲賀市)、台湾子会社の頂正科技(台南市)の3拠点。長年の稼働で装置の老朽化が進み、生産性に課題を抱えていた。

 生産体制を強化するのは、基板サイズが第8・5世代以下で、600ppi(ppiは1インチ当たりの画素数)に対応したフォトマスク。描画装置のほか、関連する検査装置、修正装置なども同時に更新する。

 フォトマスクは、液晶パネル内の薄膜トランジスタ(TFT)アレイやカラーフィルターを製造する際の露光工程で使用する。エスケーエレクトロニクスは非常に高精細な回路パターンを転写するフォトマスク技術に強みを持つ。現在、低温ポリシリコン(LTPS)液晶を採用するスマートフォン向けでも400ppi程度が一般的だが、VR向けでは一段と高精細化の要求が高まっているとされる。

 同社は第10世代以上の大型フォトマスクでトップメーカー。大型液晶パネル工場への投資を進める中国メーカーへの売り込みを強化している。これら大型向けの新規需要を取り込む一方、中小型向けでは高精細化への対応を進め、事業を拡大する。
REF;日刊工業新聞2017年4月14日

DNPは半導体装置の生産を効率化


 大日本印刷(DNP)は約26万本の電子光線で半導体のフォトマスクを描画する「マルチ電子ビームフォトマスク製造装置」を上福岡工場(埼玉県ふじみ野市)に導入し、4月に量産を始める。複数の光線を照射することで、描画時間を8時間以上短縮できる。複数の光線を用いる描画は世界的に珍しいという。2019年に年60億円の売り上げを目指す。

 フォトマスクは電子回路パターンを描く原板で、ガラスや石英などで形成される。従来は単一の電子光線で原板にパターンを描画していた。

 導入した装置は電子銃とレンズの間に露光量を制御する特殊なフィルターを挟み、複数の光線照射を可能にした。これによりフォトマスクの生産時間を短縮できる。主に7ナノメートル(ナノは10億分の1)の回路パターン向けで、複雑な描画に対応する。

 DNPは12年から米インテルや米フォトロニクスなど5社と共同で、複数の光線を用いたフォトマスク製造装置を研究していた。同装置は共同開発の成果で、次世代半導体のフォトマスク製造向けに使う。現在の半導体フォトマスクは、10ナノ―14ナノメートルの回路パターンが多いが、19年以降の次世代半導体は7ナノメートルが主流になると言われている。

 また半導体業界では複数のフォトマスクでシリコンウエハーを作る多重露光技術や、複雑な回路パターンをフォトマスクに施す光学補正技術などの利用が増えている。特に7ナノメートルプロセスは、フォトマスクの枚数や複雑な描画が増加すると予想されており、フォトマスク生産の効率化は喫緊の課題だった。

日刊工業新聞1月5日


政年佐貴惠
政年佐貴惠 Masatoshi Sakie 名古屋支社編集部 記者
市況の好調を受けて、関連部材の投資も増えてきている。フォトマスクは完成品の性能を左右する部材なだけに、今後の投資や研究開発動向が注目されそうだ。

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