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JR東日本と鹿島が伸縮杭新工法、渋谷駅の改良工事に採用

狭小地の工期・コスト削減
JR東日本と鹿島が伸縮杭新工法、渋谷駅の改良工事に採用

縮小時の鉄筋かご㊧と伸展した状態の鉄筋かご

 JR東日本は鉄筋が伸縮する杭を使用した新たな基礎工法を鹿島と共同で開発し、現在施工している渋谷駅(東京都渋谷区)の改良工事に導入する。同工法は市街地で建物が密集し、施工現場の上部に制限があるといった、制約が多く狭い場所に適している。新工法の採用で工事の効率を高め、工期短縮やコストダウンにつなげる。

 JR東日本と鹿島が共同開発した新工法は「ストランド場所打ち杭工法」。円筒状の鉄筋を掘削した地盤の中に落とし込み、コンクリートを流し込んで杭を形成する「場所打ち杭」で使う。2018年初めに、渋谷駅改良工事の架設橋脚の基礎杭の工法とし施工する。

 同工法は穴を掘り、縮小している状態の鉄筋かごを伸展させながらたて込む。そこにコンクリを流し込み、基礎杭とする。たて込みの作業時間が短くなるため、通常の杭打ち工事に比べ、工期短縮やコストダウンにつながる。

 この工法には二つのタイプがある。JR東と鹿島が開発したのは、あらかじめ工場で鉄筋かごを組み立てて施工現場に持ち込む工法。現場で組み立てる工法に比べ、鉄筋かごを組み立てる場所を確保する必要がないため、狭い場所の工事に適している。

 同工法を導入する渋谷駅の施工現場は、既設の高架橋の下で杭を施工する。このため、上部の空間である空頭制限が2・7メートルと、施工場所が非常に狭い。

 現場で組み立てる工法は、すでに秋葉原駅(東京都千代田区)の工事などで採用されているが、空頭制限は5メートルと渋谷駅より余裕があった。

 鉄筋はストランド(小縄)と呼ばれる、7本の線材をより合わせた柔らかい素材で、通常の工法で用いられる異形鉄筋に比べ、ロール状に巻き取ることが可能な上、強度も高いのが特徴。鉄筋を縮めた状態で持ち込む同工法は、ストランド鉄筋の柔らかい特性を生かすことができる。
日刊工業新聞2017年4月7日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
両社は同工法を渋谷駅で試行的に導入し、改良を加えて施工実績を広げていくそうです。

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