自動運転に必須!政府、準天頂衛星を今秋までに打ち上げへ
内閣府と三菱電機は5日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)筑波宇宙センター(茨城県つくば市)で準天頂衛星「みちびき」2号機の機体を公開した(写真)。同2、3、4号機は秋ごろまでに打ち上げ、初号機とともに日本版の全地球測位システム(GPS)となる「準天頂衛星システム」を構築する。
準天頂衛星システムは、2018年4月に4機体制でサービスを始める。位置の精度は数センチメートル程度と、約10メートルの米国のGPSや約1メートルの欧州のガリレオに比べ高精度だ。
自動車の自動走行や無人飛行機の自動飛行をはじめ、無人の除草作業といった農業分野、地震や津波、テロなどの情報を、みちびきを経由していち早く伝える防災分野などでの活用を目指す。
同2、3、4号機の設計寿命は、10年に打ち上げた初号機よりも3年長い、15年以上。高さ約6・2メートルで、軌道上展開後の全長は約19メートル。23年度をめどに7機体制にすることで、米国のGPSに依存する必要がなくなる。
日本版GPS(全地球測位システム)の本格稼働が1年後に迫る中、内閣府の準天頂衛星システム「みちびき」の測位衛星2号機が公開された。2017年秋ごろをめどに国産ロケット「H2A」で同機を含む3機の測位衛星が打ち上げられ、先に稼働中の初号機を含め18年度から4機体制となる。米国のGPSや欧州の測位衛星「ガリレオ」などライバルと差別化し、日本独自の新産業の創出が期待される。
日本では、複数の衛星からの信号を受け取り地上の位置と時刻を特定する「衛星測位」を米国のGPSに頼っている。だが仮に故障などでGPSが使えなくなった場合、経済社会活動に大きな影響が出るため、日本独自の測位衛星システムの構築が急がれていた。
準天頂衛星システムの開発の意義について、内閣府宇宙開発戦略推進事務局準天頂衛星システム戦略室の守山宏道参事官は、「衛星測位はIoT(モノのインターネット)、ビッグデータ(大量データ)と関わり産業の基盤となるため、各国が競争している。宇宙の利活用において、国際的にも先駆的な立場にある」と強調する。
地上の位置の特定には最低4機の衛星から信号を受信する必要があり、18年度に日本でもようやく基本的な体制が整う。23年度には7機体制となり、米国のGPSに頼らずに済む体制となる。
日本の衛星測位システムは衛星数が他国より少ないものの、位置精度は数センチメートルと、他国の位置精度1メートル以上と比べ、優位性が大きい。こうした利点を生かし、自動運転分野などに生かしていく。
衛星測位システムを利用した国際連携の動きも進む。内閣府と欧州委員会は3月、測位衛星の民生利用に関する協定を締結。日本のみちびきと欧州のガリレオを活用し、自動運転や農業、危機管理などの分野で協力することにした。
協定と同時に開催されたシンポジウムでは自動車や農業、建設の分野において、企業や研究機関が衛星測位を利用した具体的な事例を紹介している。産業化に向けた取り組みが加速しており、世界との競争で日本が優位に立てるのか正念場を迎えようとしている。
(文=冨井哲雄、福沢尚季)
準天頂衛星システムは、2018年4月に4機体制でサービスを始める。位置の精度は数センチメートル程度と、約10メートルの米国のGPSや約1メートルの欧州のガリレオに比べ高精度だ。
自動車の自動走行や無人飛行機の自動飛行をはじめ、無人の除草作業といった農業分野、地震や津波、テロなどの情報を、みちびきを経由していち早く伝える防災分野などでの活用を目指す。
同2、3、4号機の設計寿命は、10年に打ち上げた初号機よりも3年長い、15年以上。高さ約6・2メートルで、軌道上展開後の全長は約19メートル。23年度をめどに7機体制にすることで、米国のGPSに依存する必要がなくなる。
欧米勢と差別化、新産業創出へ
日本版GPS(全地球測位システム)の本格稼働が1年後に迫る中、内閣府の準天頂衛星システム「みちびき」の測位衛星2号機が公開された。2017年秋ごろをめどに国産ロケット「H2A」で同機を含む3機の測位衛星が打ち上げられ、先に稼働中の初号機を含め18年度から4機体制となる。米国のGPSや欧州の測位衛星「ガリレオ」などライバルと差別化し、日本独自の新産業の創出が期待される。
日本では、複数の衛星からの信号を受け取り地上の位置と時刻を特定する「衛星測位」を米国のGPSに頼っている。だが仮に故障などでGPSが使えなくなった場合、経済社会活動に大きな影響が出るため、日本独自の測位衛星システムの構築が急がれていた。
準天頂衛星システムの開発の意義について、内閣府宇宙開発戦略推進事務局準天頂衛星システム戦略室の守山宏道参事官は、「衛星測位はIoT(モノのインターネット)、ビッグデータ(大量データ)と関わり産業の基盤となるため、各国が競争している。宇宙の利活用において、国際的にも先駆的な立場にある」と強調する。
地上の位置の特定には最低4機の衛星から信号を受信する必要があり、18年度に日本でもようやく基本的な体制が整う。23年度には7機体制となり、米国のGPSに頼らずに済む体制となる。
日本の衛星測位システムは衛星数が他国より少ないものの、位置精度は数センチメートルと、他国の位置精度1メートル以上と比べ、優位性が大きい。こうした利点を生かし、自動運転分野などに生かしていく。
衛星測位システムを利用した国際連携の動きも進む。内閣府と欧州委員会は3月、測位衛星の民生利用に関する協定を締結。日本のみちびきと欧州のガリレオを活用し、自動運転や農業、危機管理などの分野で協力することにした。
協定と同時に開催されたシンポジウムでは自動車や農業、建設の分野において、企業や研究機関が衛星測位を利用した具体的な事例を紹介している。産業化に向けた取り組みが加速しており、世界との競争で日本が優位に立てるのか正念場を迎えようとしている。
(文=冨井哲雄、福沢尚季)
日刊工業新聞2017年4月6日/7日