「レゴランド」は単なるテーマパークなのか

子供たちが、ほんの小さな興味や素直な疑問を学べる大切さを

 デンマークの人気がん具メーカー、レゴが名古屋市港区に展開するテーマパーク「レゴランド・ジャパン」が、4月1日に開業した。本格的な屋外型は世界で8カ所目となり、日本では初めて。9万3000平方メートルの敷地に320億円を投じ、約40のアトラクションを提供して年間200万人の集客を目指す。名古屋市の調査によると全国主要都市の中で、同市は“観光地”としての人気が最下位。巻き返しの起爆剤にしたいところだ。

 レゴランド・ジャパンのアトラクションや建物は、原色の青、赤、黄、緑の“レゴカラー”で、ブロックのような既視感のあるデザイン。おなじみのブロック人形「レゴフィグ」も、至るところに姿をみせる。

 延べ50万時間をかけて、市販ブロック1700万個で作った1万体の模型「レゴモデル」も魅力だ。レゴランド・ジャパンのトーベン・イェンセン社長が「レゴランドのハート」と呼ぶエリア「ミニランド」では、高さ約2メートルの名古屋城や東京スカイツリー、清水寺など、日本各地の名所のモデルも楽しめる。
                

 巨大絶叫マシンはない。2―12歳の子ども連れに的を絞り、“育ち”を促す体験型アトラクションを重視する戦略だ。既存のレゴランドでは分散していた、幼い子がブロックなどでスタッフと遊べるコーナーも「ブリックトピア」と命名し、園中央に集約した。

 消費税込みの1日料金は大人が6900円、子どもが5300円。この価格設定に「割高」との声もある。

 広さ100万平方メートルの東京ディズニーリゾート(TDR)の同1日料金は、大人が7400円で子ども4800円。同54万平方メートルのユニバーサルスタジオジャパン(USJ)は、大人が7600円で子ども5100円だ。

 しかし、イェンセン社長は「市場での自分の立場をしっかり考えた」と言い切る。自信の源の一つは、熱心なファンの存在だ。妻、4歳の男の子と北海道から年間パスポート(大人1万7300円)を購入し、プレオープンに来た男性は「夫婦ともレゴ好き。ディズニーランドは行かないが、ここにはできるだけ来たい」と話す。

 来場予定者は2016年3月期に3019万人のTDR、同1390万人のUSJより1ケタ少ない。だが、地元の期待は熱い。中部圏社会経済研究所(名古屋市中区)は、開業の年間経済効果を659億円と試算。名古屋市観光推進室の担当者は「港エリアの集客の目玉になる。希望があれば、他施設との連携も支援したい」と意気込む。

 18年にはホテルと水族館をオープンし、さらに21年をめどに3万7000平方メートルを拡張する計画だ。韓国、中国でもレゴランドが今後オープンする予定。だが、イェンセン社長は「一番良い内容、食べ物、サービスを提供し、海外からも来てもらう」と、訪日外国人旅行者(インバウンド)を取り込んだ海外需要も狙う。
(文=名古屋・村国哲也)

2017/3/28



LEGOから生まれる“ロボット人材”


 7月上旬、ドイツ・ライプチヒに多くのトップレベルのロボットが集結した。本年度のロボカップ世界大会ジュニア部門にも、ロボットに情熱を注ぐ若手の精鋭が各国から参加した。会場では、自作のロボットを抱えて競技開始ぎりぎりまでロボットを調整していた。その真剣なまなざしはプロ意識を感じさせる。

 ロボカップジュニアの決まりとして、メンテナンスなどを含めた競技時間内には、保護者や指導者は一切声をかけてはならない。自分たちで問題解決方法を考え、導き出してほしいという願いからである。

 競技中の審判とのやりとりは英語であり、うまく伝わらないこともある。このような自立を求められる環境下においても、子供たちの目は輝いており、ロボットが大好きだという思いが強く伝わってくる。
ロボカップ世界大会ジュニア部門

試行錯誤の末に成功した瞬間の喜び


 ロボットに夢中になったきっかけは、親の影響、LEGOで遊び始めたこと、学校の授業の一環であったりと、さまざまである。しかし、彼らの持つ共通点は、ロボットのことを考えている時間や触れている時間の胸の高鳴りと、試行錯誤の末に成功した瞬間の喜びが、その表情や笑顔にあふれていることである。

 このような若手世代が、親世代にもロボットの面白さや素晴らしさを伝えてくれているのではないだろうか。参加者の父親は、子供の方がロボットに詳しく、それがきっかけで自身もロボットを見るようになった、と教えてくれた。

 また、遠方から家族総出で応援に来ている姿もあり、ロボットが彼ら家族にとって大きな意義をもっていた。彼らが成長し、社会を担う時代には、現代人がiPhoneやスマートフォンを簡単に操作し生活の一部としているように、ロボットを身近に感じられる社会となることへの期待が、若手層の大会での様子からより一層高まる。

 必要なことは、若手世代を対象とした、ロボットに親しめるような環境作りと教育の促進である。ロボットに対するほんの小さな興味や素直な疑問から学べることが広がる。今後も彼らがロボットへの情熱を持ち続け、探究心を絶やさないことが、将来のロボット産業のさらなる発展に大きく作用する。そのためにも、ロボカップジュニアのような大会が求められる。

 タイ、中国、イランなどのロボット競合国では、金融機関が参加チームのバックアップをしている例を耳にする。若手世代へのロボット教育には、産学官による継続した取り組みが不可欠である。国や教育機関だけではなく、企業、金融機関による複線的支援が若手育成のカギとなる。
(文=三治信一朗、中川理紗子・NTTデータ経営研究所)
日刊工業新聞2016年7月8日

明 豊

明 豊
04月05日
この記事のファシリテーター

TDLやUSJとまったく違った立ち位置であって欲しい。夢の国だけでなく、子供たちが自分の夢を見つける場所として。「レゴランド」を展開するマーリン・エンターテイメンツのニック・バーニーCEOは「レゴランド・ディスカバリー・センター(LDC)」などの都市型の小規模屋内アトラクション施設についてもっと日本で展開したいという。知育への展開も期待したい。

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