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保育園を落ちた人こそ地方移住にベストなタイミング説

文=田鹿倫基(日南市マーケティング専門官) それでどこの都市に移住すればいいの?
 「保育園落ちた日本死ね!」というブログがバズってからもう1年が経ちました。小池百合子東京都知事もこの問題への優先度を上げたいはずなんですが、豊洲市場の移転問題や、オリンピックの競技場問題がマスメディアを賑わし、なかなか進捗状況が見えません。

メディアが取り上げない理由


 そもそも、なぜ保育園を増やす!という問題がマスメディアで取り上げられにくいかと言うと、多くの視聴者にとっては当事者意識が薄いからです。テレビの視聴者は子育てが一段落した年配世代がメインです。さらに上の世代に行けば行くほど「子供は母親が育てるべきだ!子供に寂しい思いをさせるなんてけしからん!」などと悪気なく信じ込んでいます。

 そして、その世代こそが政治家を選ぶ「票」を持っているため、視聴者の興味の薄い保育園問題は政策としてり取り上げにくく、優先度が落ちていくわけです。

 自分とは関係ない保育園問題よりも自分の食卓に影響する築地市場問題や、日本の栄光を思い出せる東京オリンピックの話題のほうが視聴率をとれるため、マスメディアはそれらを優先して放送し、政治家はメイン視聴者であり有権者のボリュームゾーンの年配者を意識した政策を行います。その結果、保育園問題は後手後手に回されてしまいます。

 これは誰か特定の人が悪いのではなく、マスメディア、政治家、有権者、広告主(代理店)などの関係者のインセンティブ設計が崩れていることで引き起こされており、認可保育園を落ちたからといって、デモをやっても裁判をやっても全く問題の解決にはつながりません。

 関係者のインセンティブをどのように再設計するかが課題であって、相当複雑な問題になっています。

東京と地方での価格差は何?


 東京はdinks世帯(共働きで子供がいない世帯)にとって最高に優しい街だと思います。二人暮らしだと家賃が押さえられる上に、ふたりとも働いていると収入は2倍です。

 お金で調達できる商品・サービスが多い東京であればdinks世帯は最も住みやすい街だと思います。しかし、子供がうまれ、子供の数が増えれば増えるほど東京は住みにくくなります。

 東京の物価は高くて地方は安い、と言われることがありますが、コンビニ価格は東京も地方も同じですし、スマホ代も同じです。では、何が東京より地方のほうが安いかというと「不動産」と「子育て費用」の2つです。

 子供が増えれば増えるほど子育て費用(保育園に入れるための活動「保活」の労力も含めて)がかかり、子供のための広いスペースを求めればそれだけコストがかかってくるわけです。

認可保育園探しで困っている人の対策は3つ


 それを踏まえると、認可保育園を落ちて困惑してる方々がとるべく対策は3つあります。

① 彼女の両親を東京に呼んで、子供の世話をお願いする。

② 世帯年収を2,000万円以上にする。

③ 待機児童の発生していない地方都市に移住する。


 一つ一つ解説していくと、
① 彼女の両親を東京に呼んで、子供の世話をお願いする。
→ おじいちゃん、おばあちゃんにとって、孫の世話をすることはとっても楽しい時間です。保育料を払わなくても進んで世話をしてくれますし、勝手におもちゃやお小遣いまで買ってくれる可能性まであります。

② 世帯年収を少なくとも2,000万円以上にする。
→ 無認可保育園であれば入れるとこもあります。ただ保育料が高かったり、その他様々な制約があることがネックになっているわけです。であれば、収入を上げてサービスをお金で買って解決するという手法です。(ちなみに、2,000万円と言うのはざっくりなので、問題をお金で解決できるレベルにするということです)。

③ 待機児童の発生していない地方都市に移住する。
→ 日南市マーケティング専門官というポジショントークは2割くらいありますが、最も筋が良い解決策はこれだと思います。
                    

どうやって地方都市を選ぶか


 例外はありますが、基本的には地方都市では待機児童の問題はありません。全員が認可保育園に入ることができる可能性が格段に高まります。しかし問題は「どうやって地方都市を選ぶか?」ですよね。

 これに関してはベストな回答がありまして、「奥様の実家がある地方都市」です。(奥様が東京出身の方々はすみません!) 奥様の同級生などのコミュニティーが残っていたりすると、居場所があるので夫婦生活に負担がかかりませんし、縁故採用などが残っている地域であれば再就職も楽になります。

 さらに奥様のご両親が近くに住んでいると、ちょっとした時に子供の面倒を見てもらえたりするので、育児の負担も軽減できます。(心理的なものも含めて)
 
 じゃあ、男の方はどうするんだ、ということですが、東京で5年以上働いてきた30歳前後の男性の就職先はめちゃくちゃあります。地方都市では利益は出ているものの人手が足りずに事業が拡大できないとか、最悪のケースだと後継者がおらず、事業が引き継がれずに廃業するケースもあるくらいです。(実際、こっちのケースほうが多いんですが)。

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田鹿倫基
田鹿倫基 Tajika Tomoaki 日南市 マーケティング専門官
移住も「一度移住したら一生その土地に住まなければいけない」と思うとハードルが高いですが、家族のライフステージに合わせて、住む場所を選んでいく、と考えるといいのではないでしょうか? それでも移住先が分からない、、ということであれば、ぜひ宮崎県日南市にお越しくださいませ!

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