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なぜ会津若松に国内外の大手ハイテク企業が集まるのか

米インテルなど15社とIoT、地域課題解決と新産業の創出が両輪に
なぜ会津若松に国内外の大手ハイテク企業が集まるのか

500人が就業できるICTオフィスビル(完成イメージ)


遠野市、首都圏の企業と交流の場


 遠野市は14年4月、木造校舎を改装し、交流拠点「遠野みらい創りカレッジ」を開所した。カレッジは遠野と首都圏の企業を結びつけ、新事業を生み出す触媒となっている。

 地元の介護施設の経営者とエーザイもカレッジで出会った。エーザイは認知症治療薬を開発しており、患者に寄り添った貢献が課題と考えていた。

 介護施設の経営者との交流で課題が掘り下げられ、患者を支える地域づくりが重要と認識した。地元で木材加工を営む千葉木工所とノッチ・アート遠野は、住宅設備メーカー、航空会社と交流する。

 取引先の変化に乏しかった地元2社にとって、大手2社が刺激になっている。カレッジの参加者がビジネス案を発表すると住民、学生も意見を出す。アイデアが磨かれ、新事業の輪郭がはっきりしてくる。いま24のビジネス案が検討されている。

 震災後、富士ゼロックスの研究員が市役所に机を借り、地域支援策を練った。研究員は「住民、企業、学生といった立場、地方や大都市といった場所の壁を取り払った交流で地域課題を浮き彫りにする拠点」を提案し、カレッジが生まれた。

 企業が「ソリューション(問題解決)ビジネス」と言っても、現実のニーズとかけ離れている場合がある。カレッジでは本当の課題を発見し、その課題解決を事業にできる。富士ゼロックス復興推進室の樋口邦史室長は「短期で課題を確認できるのが企業にとっての魅力」と話す。

 開所後、同社はプログラムの開発などで支援してきた。「地域が主体となり、自走してほしい」(樋口室長)と、16年4月にカレッジを一般社団法人化し、地域住民に理事になってもらった。

 継続して支援する中で「多様な人が参加し、プログラムが実践的になり、ダイナミックになった」と手応えを語る。学びの場だった廃校から、地域を支える新事業が巣立つ日が近い。
遠野みらい創りカレッジで課題解決の発表を聞く参加者

(文=松木喬)
日刊工業新聞2017年3月7日
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
会津若松に5度目の現地取材へ行ってきました。初取材の13年はバイオマス発電所、旅館に取り付けたエネルギー管理システム、翌年は植物工場、風車と、ハード中心、エネルギー中心でした。それが今はICT、IoT。インテル、GE、NEC、クックパッド子会社など、これだけのプレーヤーが参加し、1000人の市民が参加する健康IoTの実証は例がないと思います。会津若松の本気度がわかります。遠野にやって来る企業もバラエティーに富みます。首都圏の大企業を引き寄せる魅力が、遠野にあります。

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