人体改造を受け、スペース・コロニーの住人になりたいですか?
<情報工場 「読学」のススメ#26>「ポストヒューマン」の技術が「宇宙植民」への道をひらく!?
人間の脳とコンピュータを直結する構想を抱くイーロン・マスク氏
知っている人も多いと思うが、先ほども名前を挙げたイーロン・マスク氏は、実にさまざまな分野で革新的な試みを行っている起業家だ。民間の宇宙ビジネスを先導するスペースXのほかに、世界で広く使われている電子決済サービスPayPalの前身企業、電気自動車で一歩先んじるテスラ・モーターズなどの創業者として有名だ。
そのマスク氏は最近「ニューラル・レース」の構想を語っている。これは、もともとはSF作家イアン・M・バンクスの創作に登場する、脳とコンピュータをつなぐインターフェースを指す言葉だ。マスク氏は、近い将来人間とコンピュータは一体化しなければならないとして、脳にデジタルなレイヤーを加え、AIと直結する技術の実現を考えているのだ。
ニューラル・レースは、まさに人間の身体を改造する「ポストヒューマン」の技術だ。マスク氏自身がどれだけ意識しているかは定かでないが、稲葉教授の論に従えば、スペースXの宇宙ビジネスとニューラル・レースは関係していると考えられる。ニューラル・レースの実用化があって初めて有人宇宙ビジネスの展開も可能になるということだ。
ただし、ポストヒューマンの技術は、スマホやPCとは違う。自分の体を大きく作り変えることを、どれだけの人が受け入れられるかは未知数だ。はやぶさ2の帰還を待ちながら、今後の人間の意識と社会の変化を見守るしかない。
(文=情報工場「SERENDIP」編集部)
-人工知能はスペース・コロニーの夢を見るか?
稲葉 振一郎 著
ナカニシヤ出版
272p 2,500円(税別)>
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