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はやぶさの技術、家庭にも!JAXAなど、家庭の電力消費を自動抑制

システム構築、来年度にも節約効果検証
はやぶさの技術、家庭にも!JAXAなど、家庭の電力消費を自動抑制

開発した電力管理装置(アドテックス提供)

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の川口淳一郎シニアフェローは産業用機器の製造などを手がけるアドテックス(群馬県高崎市)と共同で、サーバーの管理なしで家庭などでの電力使用のピークを抑えるシステムを構築した。家庭内の電力使用量の総量に応じて家電などがそれぞれ自ら消費量を抑える。数万円程度の導入費用で毎月の電気料金を数%削減できる。効果を検証する実験を2016年度にも行い、商品化につなげる。

 家庭用エネルギー管理システム(HEMS)などの既存の電力管理技術はサーバーが各機器の情報を集め、指令する双方向通信が前提。JAXAの小惑星探査機「はやぶさ」ではこの技術を導入し、限られた電力を有効利用した。一方で、衛星には通常200個以上のヒーターを搭載する。管理するすべての機器が決まらないとサーバーを設計できないため、機器が多数あるとサーバーの構築に多大な時間と費用がかかる。JAXAはこれを機に、サーバーが不要で接続する機器を後付けによって拡張できる技術を構築。今回はその成果を利用した。

 新開発のシステムは、家庭の電力使用量の総量を赤外線で発信する装置と、受信するソフトウエアを組み込んだ家電などで構成。ソフトウエアには、電力使用の優先順位などの情報を入れる。家電などは優先順位と家庭内の電力使用状況を基に、あらかじめ設定した電力使用量の上限を超えないように自ら消費量を変動させる。

 システムの構築には原則、家電などにソフトウエアを組み込む必要がある。このため、川口シニアフェローは家電メーカーに対し、今後行う実験への参加を求めている。
日刊工業新聞2016年1月18日 科学技術・大学面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
宇宙開発のイメージが強いJAXAが家庭の電力を見守るシステムを構築というのが意外。今後は家電メーカーの協力がポイントになりそうです。

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