日本初の国主催ロボット競技会。“今から”始める意味とは何か
ロボットと人との共存・共生
経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主催するWorld Robot Summit(WRS)のホームページが公開され、新しいムービーも公開された(http://worldrobotsummit.org/)。国が主催する競技会と展示会の競演会としては、わが国で初めての試みとなる。特に、人とロボットが共存、共生する社会をうたい、Robotics for Happinessとコンセプトを打ち出したのは新しさを感じさせ、次のロボットの世界観構築につながると期待させてくれる。
これまでにも、さまざまな競技会が行われてきた。DARPA Robotics Challengeは、国が主導する賞金(100万ドル)型の競技会であり、自動運転技術の進化をもたらすなどの成果があるとされている。韓国自治体における競技会は、各地域で行われ、大統領賞等の栄誉を与えることで就職などに有利となるとも言われる。なじみのあるRoboCupは、日本人研究者コミュニティーを中心にボランティアが世界中のロボット研究コミュニティーを形成する世界的競技会となっている。最近では、民間企業の取り組みが活発であり、Amazon Robotics Challengeが特に有名だ。民間企業がスポンサーを務め、アカデミアコミュニティーと有望チームを合わせて技術を丸ごと取り込むことを図っている。WRSと他の競技会との違いは、これまでロボット技術にのみ焦点が当たっているのに対し、課題設定型のチャレンジとなることである。
また、展示会も数多く開催されている。日本の国際ロボット展は、世界最大規模のロボット専門展示であり、機器の展示が中心であったが、最近ではSIとのソリューション展示が目立つようになってきた。また、ドイツでは、ハノーバーメッセと、AUTOMATICAが有力だ。特に、AUTOMATICAは、欧州最大規模の自動化展示であり、ロボットSIerとのソリューション展示に定評がある。中国も各地域でロボット展示会を開催するが、産業用ロボットの展示が減少傾向でサービスロボットと販売をセットにした事業が展開されているところである。これらの展示の力点は、「いかにハードを売るか」と「いかにソリューションを売るか」という点にある。
WRSは、ロボットと人との共存・共生の姿をみせることで「いかに感動をもたらすか」にある。そういう意味では、ロボット万博に近い立ち位置となる。また、競技と連動しての展示も、地域コミュニティーの中で実装されている姿もみせることになる。これらの活動が、ロボット産業革命の実現へと導くものと考えている。
(文=NTTデータ経営研究所 事業戦略コンサルティングユニット産業戦略グループ長アソシエイトパートナー 三治信一朗)
米、韓でも盛ん
これまでにも、さまざまな競技会が行われてきた。DARPA Robotics Challengeは、国が主導する賞金(100万ドル)型の競技会であり、自動運転技術の進化をもたらすなどの成果があるとされている。韓国自治体における競技会は、各地域で行われ、大統領賞等の栄誉を与えることで就職などに有利となるとも言われる。なじみのあるRoboCupは、日本人研究者コミュニティーを中心にボランティアが世界中のロボット研究コミュニティーを形成する世界的競技会となっている。最近では、民間企業の取り組みが活発であり、Amazon Robotics Challengeが特に有名だ。民間企業がスポンサーを務め、アカデミアコミュニティーと有望チームを合わせて技術を丸ごと取り込むことを図っている。WRSと他の競技会との違いは、これまでロボット技術にのみ焦点が当たっているのに対し、課題設定型のチャレンジとなることである。
また、展示会も数多く開催されている。日本の国際ロボット展は、世界最大規模のロボット専門展示であり、機器の展示が中心であったが、最近ではSIとのソリューション展示が目立つようになってきた。また、ドイツでは、ハノーバーメッセと、AUTOMATICAが有力だ。特に、AUTOMATICAは、欧州最大規模の自動化展示であり、ロボットSIerとのソリューション展示に定評がある。中国も各地域でロボット展示会を開催するが、産業用ロボットの展示が減少傾向でサービスロボットと販売をセットにした事業が展開されているところである。これらの展示の力点は、「いかにハードを売るか」と「いかにソリューションを売るか」という点にある。
いかに感動もたらすか
WRSは、ロボットと人との共存・共生の姿をみせることで「いかに感動をもたらすか」にある。そういう意味では、ロボット万博に近い立ち位置となる。また、競技と連動しての展示も、地域コミュニティーの中で実装されている姿もみせることになる。これらの活動が、ロボット産業革命の実現へと導くものと考えている。
(文=NTTデータ経営研究所 事業戦略コンサルティングユニット産業戦略グループ長アソシエイトパートナー 三治信一朗)
日刊工業新聞2017年3月10日