ニュースイッチ

独シーメンスと提携した台湾の新興メーカー、ハイウィンは日本で認められるか

直動機器生産で世界2位の実力企業、「インダストリー4・0」戦略
独シーメンスと提携した台湾の新興メーカー、ハイウィンは日本で認められるか

台湾の工作機械展示会でI4・0をPR


卓永財会長インタビュー


 台湾ハイウィンは1989年創立で社歴はまだ30年にも満たないが、M&A(合併・買収)も積極展開し、ボールネジなど工作機器の世界的メーカーに成長した。台湾以外に14カ国の現地法人を構え、R&Dセンターは7カ国に展開する。創業者でハイウィングループを統括する卓永財会長に、今後の事業方針や日本市場での戦略を聞いた。
卓会長は、日本企業の買収について、「当社もチャンスがあれば」と意欲をみせる


 ―短期間でグローバル企業に成長した要因をどう見ていますか。
 「長期的視点でグローバル体制での研究開発を進めてきたことが大きい。例えば半導体製造装置で位置決めに使う駆動部品は、世界大手の米アプライドマテリアルズと長い時間をかけ協力関係を築き、製品化した。売上高に占める研究開発費も平均10%を目標に投資する。自動化に必要な工業用ロボットの開発・生産も拡大し、中国市場を筆頭に成果をあげている。世界でのM&Aもタイミングを見ながら実践してきた」

 ―独シーメンスと提携した狙いは。
 「(ドイツの産業政策)インダストリー4・0への対応を加速するのが目的だ。伝統的な生産の形は今後どんどんなくなり、顧客の立場からインテリジェントな生産をいかに実現するかが重要になる。それに貢献したい」

 ―世界各地で工場建設を相次いで進めています。
「台湾だけでなく、中国の蘇州工場が今春に、ドイツでも二つ目の工場が10月に完成した。17年には米国シカゴでも新工場が完成する予定だ。M&Aも効果的に活用し、拠点を増やしている」

 ―日本市場での戦略は。
 「日本は重要市場と位置づけ、営業基盤を強化している。今後3年以内にボールネジやリニアガイドウェイの自社工場を建てたい。M&Aか自前で建設する形かのどちらかになる。日本法人の本社がある神戸市は有力候補地だ。短納期対応をしっかり図りたい」

 ―今後の目標は。
 「上場企業だから具体的な数字はいえないが、毎年幅広い新製品を投入し、成長を続けることにこだわっていく。開発中のインテリジェントボールネジは必ず普及できる戦略製品だと思っている」
日刊工業新聞2016年12月7日
六笠友和
六笠友和 Mukasa Tomokazu 編集局経済部 編集委員
加工する物を載せてクルクル動く工作機械の回転テーブルは、すでに日本メーカーにも採用されています。工作機械がより難しい加工をもっと精度良くするには、直動機器や回転テーブルのレベルアップがマストです。台湾の工作機械産業が「安かろう悪かろう」から真に脱皮するために、ハイウィンの役割は大きいでしょう。こうした工作機械である5軸加工機は増えており、同社の成長余地も大きいと思います。

編集部のおすすめ