世界のR&D支出トップ1000社、日本企業は16社が圏外に
Strategy&調べ。首位はVW、日本トップのトヨタは10位
R&D支出に関する日本企業の支出額が減少、世界ランキングに並ぶ企業数も減少している。PwCの戦略コンサルティング部門であるStrategy&の調査によると、R&D支出トップ1000社のうち日本企業は165社がランクイン。米国に次いで2位だったが、企業数は前回調査比で16社減少、支出額も8%減少した。日本企業のトップはトヨタの10位で88億ドルだった。
Strategy&の「2016年グローバル・イノベーション調査」によると、首位は独フォルクスワーゲン、次いで韓国サムスン、米アマゾン、米グーグル、米インテルなどの順。
日本勢はトヨタのほか、ホンダが23位、日産自動車が31位、ソニーが38位、パナソニックが39位などとなっている。
日本企業のランクイン数は調査開始時の2005年の276社から、今回は111社、40%強も減少している。R&D支出トップ1000社の支出総額は売上額が16兆ドルと前回調査比11・8%減少したにもかかわらず、6800億ドルと前年調査比0・04%増だった。
日刊工業新聞社が実施した研究開発(R&D)アンケート(有効回答239社)によると、2016年度の計画を回答した184社の研究開発費合計は、15年度実績比2・5%増と、7年連続の増加となった。一方で10位以内の企業のうち、半分の5社が前年よりも研究開発費を減らすと答えた。重点事業には研究投資を投入する一方で、事業の統廃合や投資案件の選別により全体では投資額を抑える企業も増えてきた。
研究開発費の企業別順位では、トヨタ自動車が15年度比2・3%増の1兆800億円と15年連続の首位。「次世代高度運転技術の開発」(トヨタ)を加速する。
2位はホンダ、3位は日産自動車、6位はデンソーと自動車・部品メーカーが上位を占めた。「先行開発を含む新しい技術へ投資する」(日産)など、環境規制への対応や自動運転など技術課題が山積する自動車メーカーは、研究開発費が膨らむ傾向にあることが鮮明になった。
4位はパナソニック、5位はソニーと電機勢が食い込んだ。パナソニックは「16年度から会計基準を国際会計基準(IFRS)ベースに変えるなどの理由で総額ではほぼ横ばい」としながら、「重点領域の設定と戦略的なテーマへの重点投資などメリハリのある施策」を計画する。
16年度の計画を回答した184社のうち「16年度から研究開発費を減らす」と回答した企業が35社と前回の調査よりも9社増えた。前年度比14・1%減を見込む東芝は「医療事業の切り出しなどを含む全社的な投資対象を見直す」と回答。事業立て直しを進める中、研究開発費の投資効果を精査する。
力を入れる研究開発分野として全体の70%近くが「環境・エネルギー」と答えた。一方で「ロボット/人工知能(AI)」や「安全・防災」などは30%以下にとどまった。
また、研究開発を支える人材について、回答企業の約40%が今後数年間で研究開発人材を「増やす」と答えた。大学の理系人材を採用する際の選考で重視している点として「コミュニケーション能力」を約80%が挙げた。
一方で、約30%が採用した理系人材のコミュニケーション能力に不足を感じていることが明らかになった。
オープンイノベーションに関して「基礎研究」「応用研究」「実用化開発」「事業化」「ビジネスモデル創出」の各段階で期待するステージがどこにあるかとの問いには、半数の企業が事業化もしくはビジネスモデル創出を選んだ。さらに連携を強化したいパートナーとして80%以上の企業が「大学を選ぶ」と回答し、産学連携への期待の高さをうかがわせた。
アンケートは1988年度から実施しており、29回目。6月上旬から下旬にかけて調査した。
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Strategy&の「2016年グローバル・イノベーション調査」によると、首位は独フォルクスワーゲン、次いで韓国サムスン、米アマゾン、米グーグル、米インテルなどの順。
日本勢はトヨタのほか、ホンダが23位、日産自動車が31位、ソニーが38位、パナソニックが39位などとなっている。
日本企業のランクイン数は調査開始時の2005年の276社から、今回は111社、40%強も減少している。R&D支出トップ1000社の支出総額は売上額が16兆ドルと前回調査比11・8%減少したにもかかわらず、6800億ドルと前年調査比0・04%増だった。
日刊工業新聞2016年11月4日
国内ランキングは?日刊工業新聞アンケートより
日刊工業新聞社が実施した研究開発(R&D)アンケート(有効回答239社)によると、2016年度の計画を回答した184社の研究開発費合計は、15年度実績比2・5%増と、7年連続の増加となった。一方で10位以内の企業のうち、半分の5社が前年よりも研究開発費を減らすと答えた。重点事業には研究投資を投入する一方で、事業の統廃合や投資案件の選別により全体では投資額を抑える企業も増えてきた。
研究開発費の企業別順位では、トヨタ自動車が15年度比2・3%増の1兆800億円と15年連続の首位。「次世代高度運転技術の開発」(トヨタ)を加速する。
2位はホンダ、3位は日産自動車、6位はデンソーと自動車・部品メーカーが上位を占めた。「先行開発を含む新しい技術へ投資する」(日産)など、環境規制への対応や自動運転など技術課題が山積する自動車メーカーは、研究開発費が膨らむ傾向にあることが鮮明になった。
4位はパナソニック、5位はソニーと電機勢が食い込んだ。パナソニックは「16年度から会計基準を国際会計基準(IFRS)ベースに変えるなどの理由で総額ではほぼ横ばい」としながら、「重点領域の設定と戦略的なテーマへの重点投資などメリハリのある施策」を計画する。
16年度の計画を回答した184社のうち「16年度から研究開発費を減らす」と回答した企業が35社と前回の調査よりも9社増えた。前年度比14・1%減を見込む東芝は「医療事業の切り出しなどを含む全社的な投資対象を見直す」と回答。事業立て直しを進める中、研究開発費の投資効果を精査する。
力を入れる研究開発分野として全体の70%近くが「環境・エネルギー」と答えた。一方で「ロボット/人工知能(AI)」や「安全・防災」などは30%以下にとどまった。
また、研究開発を支える人材について、回答企業の約40%が今後数年間で研究開発人材を「増やす」と答えた。大学の理系人材を採用する際の選考で重視している点として「コミュニケーション能力」を約80%が挙げた。
一方で、約30%が採用した理系人材のコミュニケーション能力に不足を感じていることが明らかになった。
オープンイノベーションに関して「基礎研究」「応用研究」「実用化開発」「事業化」「ビジネスモデル創出」の各段階で期待するステージがどこにあるかとの問いには、半数の企業が事業化もしくはビジネスモデル創出を選んだ。さらに連携を強化したいパートナーとして80%以上の企業が「大学を選ぶ」と回答し、産学連携への期待の高さをうかがわせた。
アンケートは1988年度から実施しており、29回目。6月上旬から下旬にかけて調査した。
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