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リニア、日比谷にみるニッポン・ゼネコンの“掘削力”

長短それぞれに得意技磨く
リニア、日比谷にみるニッポン・ゼネコンの“掘削力”

リニアの覆工コンクリート施工では品質確保が重要(大林組の連続ベルコン通過型テレスコピック式セントル工法)

 鹿島は東京の地下鉄日比谷駅と、現在建設中の新日比谷ビル間の連絡通路約40メートルの掘進を完了し公開した。長方形の断面で、直進する短い通路用のトンネル掘削に適した「R―SWING工法」を採用。従来のシールドマシンを利用した工法に比べ工程を50%短縮でき、約3カ月で施工した。

 R―SWING工法で用いる掘削機は、本体部と上部のルーフ部を基本ユニットとして構成。掘削断面の大きさに応じ、基本ユニットをブロックのように組み合わせできる。現場で容易に組み立てや解体が行え、狭い現場での利用に適する。ユニット間の接続はボルト締めで組み立て時の溶接や解体時のガス切断作業が不要。

 掘削機は本体(幅2・3×高さ2・7メートル)とルーフ(幅2・3×高さ0・9メートル)の基本ユニットをブロックのように組み合わせて製作。3連の掘削機は、2連の掘削機に基本ユニットを各1基装着し、今回適用した通路の断面寸法(幅7・25×高さ4・275メートル)に対応した。

 鹿島は都市部の長方形断面のトンネル施工で、R―SWING工法を含め、四つの工法をそろえている。用途や施工条件によって使い分けていく方針。連絡通路関連の工事は、2017年8月に完了する予定。

日刊工業新聞2016年9月14日 



超難関、世界初の試み「水平ボーリング」で突破


日刊工業新聞2016年3月15日


 2027年に東京―名古屋間で開業するリニア中央新幹線のトンネル掘削工事が、いよいよ始まる。中でも全長25キロメートルにおよぶ「南アルプストンネル」は1400メートルもの「土かぶり」や湧水など、課題が多い。JR東海や大手ゼネコン各社は、本格的な掘削工事の着手を前に、技術開発などの準備を進めてきた。リニア中央新幹線には、日本のトンネル掘削などの最新技術が結集する。

南アルプス、1400メートルにおよぶ「土かぶり」


 南アルプストンネルは、山梨県、静岡県、長野県の3県にまたがっており、すでに山梨と長野の工区は大手ゼネコンを中心としたJVとの契約を終えた。山梨工区では起工式も終了し、本格的な掘削工事の着手が秒読み段階に入っている。

 南アルプストンネルの最大の課題は、1400メートルにおよぶ「土かぶり」。土かぶりとは地面から埋設物の上端までの深さを指すもので、これまでで最大の土かぶりは大清水トンネル1300メートル。南アルプストンネルはこれを100メートル上回る。

 リニア中央新幹線の工事ではリニアが通る「本坑」を掘削する前に、「先進坑」と呼ばれる作業用トンネルを掘る。柴田洋三JR東海中央新幹線建設部土木工事部長は、「地質は実際に掘ってみないと分からないところがある。先進坑を掘って地質を確認しながら、本坑を掘っていく」と話す。先進ボーリングで地山の強度などを把握し、トンネルの覆工なども決めていく。

 先進ボーリングは、トンネルと平行に「水平ボーリング」を実施し、地質調査を行う。この規模の土かぶりで継続的に水平ボーリングを行うのは世界でも初めて。水平ボーリングは長い距離を狙った方向に掘削するところに、その難しさがある。南アルプストンネルの工事では、1000メートル先の水平ボーリングなども想定し、山梨県内などで数年前から調査坑を掘り、技術の習得を進めてきた。本工事では、これまでの積み上げてきた技術を生かす。

(山梨リニア実験線で走行試験を繰り返すリニアモーターカー)

湧水を減少させる「薬液注入工」


 また、南アルプストンネルの掘削工事で課題となっているのが、湧水対策だ。一般的な対策は、湧水を坑外に排水したり地盤改良して湧水を抑えたりするが、この工事では地盤改良剤として薬液を地盤中に注入し、湧水を減少させる「薬液注入工」を実施。これにより湧水を抑えながら、最寄りの河川に流すことを想定する。柴田部長は「ゼネコンに対し、異常時の対応を提案に盛り込むように要請している」と話す。

 さらに、掘削中の突発的な湧水は工事を遅らせ事故を招く恐れがあり、事前調査も欠かせない。その時に有効な技術が鹿島の「スイリモ(水リサーチ・モニター)」。掘削面前方のボーリング調査と同時に湧水圧と湧水量を連続計測し、複数の湧水区間がどこに、どの程度存在しているかを把握できる。「水抜き孔の必要性や配置、止水対策工事の仕様など、条件に応じた適切な対応が可能になる」(手塚康成土木管理本部・土木工務部トンネルグループ次長)という。

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明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
リニアの「3大難工事」と言われているのが南アルプスのほかに、品川駅と名古屋駅。名古屋駅も今月、本格着工し3区間と着手した。品川駅と名古屋駅の工事が難工事とされるのは、新幹線や在来線を通常通り営業させながら地下に新ホームを建設するため。それにしても人は、なぜ掘りたがるのだろう。中学生の頃、地元の石川県が豪雪の年があり、校庭に2メートル以上の雪が積もったことがある。野球部だった自分のだが、部員みんなで、グラウンド中、縦横無尽に延々と穴を掘り続けっていったのは、とにかく楽しかった。

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