ニュースイッチ

AD

クリーニング工場でロボットと人が協働。「必要不可欠な存在」に

<渡辺リネン>初のロボ導入で労働生産性が1.5倍アップ
クリーニング工場でロボットと人が協働。「必要不可欠な存在」に

①ロボット導入前。人がタオルの束を一束ずつ結束していた ②タオルの束をコンベア機構を付けたロボットハンドで引き込む   ③ロボットが結束機に搬送し、結束する ④タオルの束を再度ロボットが引き込み、下流のコンベアに送り込む


大雪でもロボット活躍


 現場では、R-1000iA/80Fが上流から流れてくるタオルをハンド内のコンベアに引き込み、続いてアームを動かし結束機に投入する。コンベア型ハンドの採用により、さまざまな種類、状態のタオルを扱えるようにした。結束後、機械からタオルを取り出し次工程に送る作業も、R-1000iA/80Fが担う。導入により、従来3人必要だった平常時の人員は、2人に抑えられるようになった。

 バスタオルは2本結束、一部のフェイスタオルは1本結束といった具合に、製品の種類に応じて結束方法を変えることが可能。タクト時間は2本結束だと25秒、1本結束時は15秒と人とほぼ同等の水準を達成した。これにより、人とスムーズに連携できるようにしている。
 タオルの束を運ぶ重労働をロボットが肩代わりすることで、担当者の負担は大幅に軽減された。かつては担当者の疲労などにより処理スピードが変化し、結束工程がボトルネックになりがちだったが、ロボットを使うことで「生産スピードが平準化された」(川村執行役員)。また、結束機の取り扱いは時に危険を伴い担当できる人が限られたが、ロボット化により女性や高齢者を配置しやすくなっているという。

 「導入前は現場に抵抗感もあった」と川村執行役員は振り返る。ロボットの活用は渡辺リネンにとって初めての試み。どんなシステムになるか全くイメージできないため、従業員の多くが半信半疑だった。だが実際に導入するとすぐに効果が表れ、スペースを取らずに負担を軽減してくれることが高い評価を獲得。今やR-1000iA/80Fは現場において必要不可欠な存在だ。「2月に大雪が降った時には、交通網が遮断され従業員の半数近くが出社できなかったが、ロボットシステムのおかげで生産を継続できた」(同)という。

事前の綿密な検証がカギ


 初事例となった今回の導入案件では、事前の綿密な検証が成功のポイントになった。旗振り役を担ったミツイワの深井善朗マーケティング本部自動化ソリューション推進部マネージャーは、「業務分析、商品分析、工程分析などを経て、投資対効果などの検証に入った」と説明する。例えば商品分析では、ラインアップ、各商品の生産量、時期による変動などを明確化した。分析を進める中で、徐々に最適なシステムの姿が浮かび上がってきたという。

 もう一つの成功要因は複数のSI企業による連携だ。ロボットハンドを手がけるメカニカや、制御技術に強みを持つナレッジ(滋賀県長浜市)が得意領域のノウハウを提供し、ミツイワが全体をうまくまとめあげた。ロボットを初めて導入する企業に対しては、こうした複数のSIによる手厚い支援が不可欠だ。

 渡辺リネンは今回の成果を踏まえ、シーツの結束、洗濯といった他の工程でも自動化を検討する方針。初事例で経験が蓄積されただけに、次回はさらに進化したシステムが生まれるかもしれない。

株式会社渡辺リネン
〒940-2126 新潟県長岡市西津町3806-1
TEL 0258-28-0808

※本ロボットの導入にあたっては、経済産業省の平成26年度補助事業「ロボット導入実証事業」で採択されて、導入されたものです。
ニュースイッチオリジナル

編集部のおすすめ