前年割れ相次いだ乗用車8社の11月世界生産、スズキが唯一増加した要因
乗用車メーカー8社が25日発表した11月の生産・販売・輸出実績によると、8社合計の世界生産台数は前年同月比11・0%減の212万2162台となり、7カ月連続の前年割れとなった。中国での価格競争激化やタイなどでのローン審査の厳格化が続き、厳しい市場環境が生産・販売に影響した。
世界生産はスズキを除く7社が前年割れとなった。同社はインドでスポーツ多目的車(SUV)「フロンクス」や「ブレッツァ」が人気。同国の生産が11月として過去最高となったことがけん引した。
他社の世界生産はトヨタ自動車と三菱自動車が10カ月連続、日産自動車が6カ月連続の減少。ホンダ、マツダ、ダイハツ工業は4カ月連続の減少で、SUBARU(スバル)は2カ月ぶりに前年同月を下回った。
日本国内の生産ではトヨタが前年同月比9・3%減の28万5761台だった。前年が半導体不足緩和で高水準だった反動を受けたほか、11月に愛知県内の2工場を設備確認のために稼働停止したことが影響した。ホンダは23年10月に発売した新型「N―BOX」の増産に対応していた前年同月から反動減で、同16・3%減の6万3850台。スバルも輸出向け生産計画の見直しで同6・5%減となった。
中国市場では価格競争や新エネルギー車(NEV)の需要拡大で苦戦が続く。日産はセダン「シルフィ」の台数減で中国生産が同26・2%減の6万4990台となり、6カ月連続で前年を下回った。ホンダも同38・4%減と大きく減少した。一方、トヨタは同1・6%減と微減で推移。ミニバンの新型「グランビア」などが好調を維持したほか、政府の車両購入補助政策と連動した販売促進策が奏功した。
タイやインドネシア市場は厳格なローン審査が継続し低調に推移する。タイ生産はトヨタが同20・5%減、三菱自が同21・8%減。インドネシア生産はトヨタが同15・0%減だった。ダイハツもインドネシア生産が低調だった。
今後は中国やアジア新興メーカーの安値攻勢のほか、トランプ次期米大統領による輸入関税の引き上げや環境規制緩和などの可能性を踏まえた投資・商品戦略の動きが注目される。
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