南極の水中ロボット、ソフトバンクが東京からの遠隔制御に成功した
ソフトバンクはトラッキング(追跡)技術を活用した水中光無線通信と衛星通信を組み合わせて、東京・竹芝のソフトバンク本社から南極の海氷下を移動する水中ロボットをリアルタイムで遠隔制御する実証に成功した。日本の研究者が南極に出向くことなく、遠隔で海中を調査可能なシステムが構築できることを証明した。2026年度にも日本近海の水中での測位や水中無線コミュニケーションが可能な水中ロボ、産業ダイバー向けシステムの商用化を目指す。
昭和基地の南方約55キロメートルにあるスカルブスネス・鳥の巣湾の海中を移動する水中ロボを約1万4000キロメートル離れた日本からリアルタイムで遠隔制御し、水中ロボに搭載した水温や水圧などのセンサー情報を観測した。
LEDの光の明滅をカメラで撮影し、画像処理を用いたトラッキング技術で光を検出・追従することで、光の輝度変化をデジタル信号に変換し、即時通信を実現した。
水温が約マイナス2度Cまで低下し、海氷に閉ざされて音響通信の活用が難しい南極の海氷下でも、水中ロボや機器をリアルタイムで遠隔制御し、水中ロボからのデータの収集や観測などを遠隔で実行できたという。
日刊工業新聞 2024年12月23日