シャープ堺工場の一部、1000億円で買い取るソフトバンクの狙い
シャープは同社本社に併設する堺工場(堺市堺区)の約6割を占める土地と旧大型液晶パネル工場、電源設備、冷却設備などをソフトバンクに売却する方針を決めた。譲渡額は約1000億円で、家電などのブランド事業に注力する構造改革の加速につなける。ソフトバンクは買い取った工場に人工知能(AI)向けデータセンター(DC)を構築する計画で、2026年の稼働を目指す。
ソフトバンクはAIDCに必要な25万キロワット規模の電力の供給が受けられることを条件に、24年度内にもシャープと正式に契約する。同社とシャープは1月から堺工場を活用したDC構築について協議を開始し、6月に基本合意していた。
シャープは堺工場の別の部分もKDDIに売却することで基本合意済み。KDDIは正式契約の後、24年度中にAIDC構築の工事に着工し、25年度中に稼働することを目指している。
シャープは堺工場を09年に稼働したが、過大投資がたたって経営危機を招く主因となった。連結から外れていた同工場を22年に買い戻したが、再び経営の負担となり、24年8月末に稼働を停止した。液晶パネルを含むデバイス事業の工場売却や人員削減を進めて家電などのブランド事業に注力する構造改革に取り組んでいる。
ソフトバンクは堺工場の設備などの買い取り手続きが終わり次第、AIDCに転換するための工事を始める。26年中に受電容量が約15万キロワット規模のAIDCの稼働を目指す。買い取り手続き後4年をめどに、25万キロワットの電力供給が得られるようにする。
同社は全国に点在するDCをつないで計算処理を分散させる「分散型DC」の構築も計画している。
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日刊工業新聞 2024年12月23日