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「“うなぎ上り”に増えていく」、ロボット需要の拡大が止まらない

「“うなぎ上り”に増えていく」、ロボット需要の拡大が止まらない

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世界的な自動化対応の動きを背景に、ロボット需要の伸びが続いている。人手不足や労働賃金の上昇で人による作業からロボットへの置き換えは避けられない。国際ロボット連盟(IFR)によると2023年のロボット密度(従業員1万人当たりの導入台数)の世界平均は162台で、7年前の74台と比べて2倍以上に伸長した。

2023年の国別のロボ密度

「右肩上がりではなく、“うなぎ上り”に増えていく」。ファナックの安部健一郎常務執行役員は、今後のロボット需要の伸びに強気な姿勢を示す。

中長期で一層の市場成長が見込まれている一方で24年の動きは鈍かった。中国経済の低迷や電気自動車(EV)需要の減速で、ロボット受注が芳しくないためだ。

また半導体不足などコロナ禍のサプライチェーン(供給網)リスクを教訓に、市場の潜在需要以上に在庫を持つ傾向があり、24年は在庫調整に時間を要した。ただ、在庫調整期間を「開発の仕込み期間に充てられた」(ファナックの安部常務執行役員)と前向きな声も聞かれる。

25年以降も中国経済の回復を見通しづらい中、ロボット・産業機械各社はトランプ新政権が誕生する米国や成長が著しいインド市場強化の動きをみせる。

安川電機は米国でロボット工場新設を検討。小川昌寛社長は「米国内での投資は明確にポジティブに動く。米国経済や需要に期待している」と話す。不二越はインドや米国に販売拠点を設けるなど、ロボットの拡販を中心に成長戦略を描く。

一方、ロボットメーカーに構成部品を納める減速機メーカーはロボット需要の回復に慎重な姿勢だ。短期でEV関連投資の回復が見込めない中、25年前半も低調に推移するとの見方を示す向きもある。

製造業でのロボット活用は自動車の溶接、組み立て、塗装といった産業用から、安全柵不要で人と同じ空間で作業可能な協働ロボットの普及など、すそ野が広がっている。今後は人に代わって作業可能なヒューマノイド型ロボットの普及も見込まれる。

日刊工業新聞 2024年12月19日

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